鮭は和食の中でもポピュラーな食材ですね!お弁当の定番はしゃけ弁当ですし、おにぎりの具の不動の一位は鮭です。
なんと言ってもあのサーモンピンクの身の色が食欲をそそりますよね?
そんな日本の食卓にお馴染みの鮭には、凄い栄養があるんです。
その秘密は、あの身の色にあります。鮭って赤身魚というイメージですが、実は白身魚なんです!
じゃあ、あの赤い色は何なんでしょうか?
今回は鮭に含まれる驚きの栄養素についてお伝えします!
目次
鮭の栄養
鮭のピンク色に秘められた力を見ていく前に、まずは鮭に含まれる栄養を見てみましょう。
名称 | 100g当たりの数値 |
---|---|
カロリー | 120Kcal |
炭水化物 | 0g |
脂肪 | 3.77g |
タンパク質 | 20.14g |
ビタミンA | 30μg |
ビタミンB1 | 0.08mg |
ビタミンB2 | 0.18mg |
ビタミンB3 | 7.0mg |
ビタミンB6 | 0.4mg |
ビタミンB9 | 4μg |
ビタミンB12 | 3μg |
ビタミンE | 1.09mg |
カルシウム | 11mg |
鉄分 | 0.55mg |
マグネシウム | 22mg |
リン | 283mg |
カリウム | 429mg |
ナトリウム | 50mg |
亜鉛 | 0.47mg |
鮭にはEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、などのコレステロールの上昇を抑える不飽和脂肪酸や、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミンを多く含んでいます。
EPAやDHAはω-3脂肪酸と呼ばれる人間にとって必須のものです。ω-3脂肪酸は人間の体内では作ることができないため、これらを多く含む魚は、積極的に食べたいところです。
また、鮭は良質なたんぱく質を取ることができる栄養価の高い食べ物です。
でも、鮭の真価はあのサーモンピンクの色にあります。
鮭のサーモンピンクの力
普通、赤身魚の赤い色は、ヘモグロビンの色、つまり血の色です。長距離を泳ぐための持久力を上げるために必要な酸素を、筋肉にたくさん供給するために、全体的に赤くなってるわけです。
でも、鮭の赤い色は、全く別の目的のためなんです。
鮭の紅色の正体
鮭のサーモンピンクの正体はアスタキサンチンという物質です。アスタキサンチンはβカロテンやリコピンなどと同じカロテノイドという色素物質です。
しかし、カロテノイドはただの色素ではありません。実はとても強い抗酸化作用があります。βカロテンも体内で、ビタミンAに変わることで有名ですよね?このビタミンAも抗酸化物質です。
そして、カロテノイドの中でも特に抗酸化作用が強いのが、アスタキサンチンです。
代表的な抗酸化物質はビタミンCやビタミンEなどですが、アスタキサンチンはそれらの抗酸化物質の中でも最も抗酸化力が強い史上最強の抗酸化物質と言われています。
その抗酸化力はビタミンCの3000倍、ビタミンEの1000倍といわれ、ダントツの抗酸化力を持っています。
鮭は活性酸素に対抗するために筋肉の中に、このアスタキサンチンを常に大量に溜め込んで、身体を守っているのです!
アスタキサンチンは最近では化粧品やサプリメントにもなっています。残念ながら、それらの商品はまだまだお高いです。それでも中には比較的手ごろなものもります。Amazonでも様々なサプリメントがあるようなので、興味があればこちらから探してみてください。
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でも、同じ鮭でも濃い紅色をしているものもあれば、ピンク色のものもありますよね?
当然、濃い紅色の鮭の方が、アスタキサンチンの量が多くなります。
では、そのような鮭を選ぶポイントって何でしょうか?
アスタキサンチンを多く含む鮭
鮭からアスタキサンチンを多く取りたいのであれば、川に帰ってくる前の沖の方で取れた鮭が理想です。
鮭にとって、産卵のために故郷の川を目指して泳ぐことは、一生の間で最も過酷な運動です。そのため、故郷に近づくにつれて、段々と体内のアスタキサンチンが減っていきます。
そのため、沖で取れた鮭の方が身の色は紅色ですが、沿岸で取れた鮭はどちらかというとピンク色です。食べる時は身の色が紅色のよりアスタキサンチンの多い物を選ぶのが理想です。
しかし、鮭はなぜこのような強い抗酸化物質であるアスタキサンチンを体内に溜め込んでいるのでしょうか?実はこれほどまでに多くのアスタキサンチンを溜め込んでいるのは、鮭以外の魚にはほとんどいません。
鮭の身に多くのアスタキサンチンが含まれているのは、どんな理由があるんでしょうか?
鮭にアスタキサンチンが必要な理由
鮭にこれほどの抗酸化力が必要な理由は、鮭の過酷な一生を見ると分かります。
鮭の一生
鮭の一生は泳ぎ続ける一生と言っても過言ではありません。
鮭は川で生まれ、そのまま川を下って海に出て、そして、数年間海で過ごします。その間も広い海を広範囲に泳ぎ回って生活し、やがて生まれ故郷の川に戻ってきて、川をさかのぼり、産卵して一生を終えます。
魚の中でも、一生の間にこれほど長い距離を泳ぐ魚は他にいません。特に一生のうちの最後は激しい流れの川を逆行するという過酷な泳ぎをするわけです。
そんなスーパースイマーな鮭は泳いでいる間、大量の活性酸素が体内で生成されてしまいます。鮭にとって、この活性酸素をどうにかする必要があるわけです。
そこで、鮭は強い抗酸化作用のあるアスタキサンチンを含むエサを好んでたくさん食べます。アスタキサンチンを多く含むのは、エビやカニなどの甲殻類です。エビやカニの殻の赤い色は実はアスタキサンチンなのです。
鮭は自分の体でアスタキサンチンを作るわけではなく、アスタキサンチンを多く含む甲殻類をたくさん食べることによって、たくさんのアスタキサンチンを溜め込んでいるのです。
ちなみに同じ鮭の仲間でも川で一生を過ごすニジマスなどは、身の色が白いです。これはアスタキサンチンを含む餌を食べていないせいです。アスタキサンチンを含む餌を食べていればちゃんとピンク色の身になります。
その他の鮭と鱒の違いについては、こちらの記事により詳しく書いているので、良ければご覧ください!
⇒ 鮭と鱒とサーモンの違い!その差を簡単に解説します!
ところで、鮭は赤身魚と思われがちですが、鮭の身の色はアスタキサンチンを含む餌を食べているかどうかによります。
通常の回遊魚の筋肉は、持久力が高い遅筋が中心です。この遅筋にはヘモグロビンがたくさん含まれているため、真っ赤な色をしているわけです。
しかし、鮭にとっては、川の流れに逆行するための瞬発力が必要です。そのため、鮭の筋肉は速筋が中心です。そして、この速筋は白っぽい色をしています
白身魚とはこの速筋が中心の魚なのです。
だから、鮭は白身魚なのです。赤身魚と勘違いされている理由は、このアスタキサンチンのせいなのです。川を逆流して上るためには、強い瞬発力が必要なので、鮭の筋肉は速筋である白身なんですね~。
その証拠に養殖などでアスタキサンチンを含むエサを与えないで育てると、完全な白身の鮭になるそうです…。そんな鮭をおかずに出されても食欲出ないですよね(^_^;)
ちなみに赤身魚と白身魚の違いについては、こちらの記事に詳しく書いてあるので、良ければご覧ください!
⇒ 白身魚と赤身魚の違いって?それぞれの栄養素について!
まとめ
そういうわけで、今回は鮭の色素の驚くべき効果についてお伝えしました。体内に最強の抗酸化物質を溜め込む必要があるほど、鮭は常に激しく運動しているわけです。
鮭は魚の中でもトップクラスのスプリンターなんですね!
これからはなるべく紅色の鮭を食べて、いつまでも若さを保ちたいですね!