ベーキングパウダーの成分って何?重曹との違いを分かりやすく解説!

お菓子作りにはベーキングパウダーは、欠かせないですよね?

自称主夫であり、焼き菓子が好きな私も、よく使うものです。

でも、成分表示や原材料名を見ると、なんだか怪しい名前が並んでいて、不安になりませんか?

そんな怪しい成分ばかりの物を使うくらいだったら、重曹で代用した方が良いんじゃないかって思うかもしれませんね。

そこで、化学大好きの理系人間の私は、ベーキングパウダーの成分を徹底的に調べてみました。さらに重曹で代用する場合の、メリットとデメリットも調査しましたよ!

というわけで、今回はベーキングパウダーの成分を徹底解剖します。

スポンサーリンク


目次

ベーキングパウダーの成分

まずは、ベーキングパウダーが、生地をフワフワにする原理を簡単に説明しますね。

ベーキングパウダーの主成分は、重曹(炭酸水素ナトリウム)です。

この重曹は生地に火が通る過程で、炭酸ガス(CO2)と(H2O)に分解されます。そして、炭酸ガスは生地の中でそのまま気泡になります。また、水は加熱されることで水蒸気になるため、やっぱり生地の中に気泡を作ります。

こうして生地の中に無数の細かい気泡ができるため、フワフワした食感になるわけです。

ただし、重曹単体だと、この反応が急激過ぎて、しかも反応しきらずに残ってしまうんです。そこで、この反応を促進するための、補助的な成分が必要になります。

ベーキングパウダーとは、重曹と補助的成分がミックスされたものなんです。

そして、それらの成分は、大きく分けるとこの3つです。

ベーキングパウダーの主成分

  • ガス発生剤
  • ガスを発生させて、生地をフワフワサクサクにするための成分

  • 酸性剤
  • ガス発生剤と反応することで、ガスの発生を促進する成分

  • 遮断剤
  • 保管中にガス発生剤と酸性剤の反応を防止するための成分

それぞれの役割を簡単に解説します!

ガス発生剤

生地をフワフワ・サクサクした食感にするための成分です。

ベーキングパウダーの主役です。

二酸化炭素を発生させる目的の重曹を使っている場合が多いです。他にもアンモニアガスを発生させる重安(炭酸水素アンモニウム)を使っているものもあるようです。

ガス発生剤に使われる主な成分

  • 炭酸水素ナトリウム
  • 炭酸水素アンモニウム

アンモニアだと、なんだか臭そうで抵抗がありますよね(-_-;)

酸性剤

ガス発生剤と中和反応を起こすことで、ガスの発生を促進する重要な成分です。

これが入ってないとガス発生剤の反応が不十分になり、食感が悪くなります。さらにガス発生剤は苦みや独特の臭いがあるため、生地の中に残っていると風味が悪くなります。

出来上がりの風味を整える意味でも、酸性剤は重要です。

酸性剤に使われる主な成分

  • 酒石酸水素カリウム
  • リン酸二水素カルシウム
  • 酒石酸
  • 焼ミョウバン
  • フマル酸
  • リン酸ナトリウム
  • グルコノデルタラクトン
  • 酸性ピロリン酸ナトリウム
  • 酸性リン酸アルミニウムナトリウム

酸性剤は様々な成分がブレンドされています。

このブレンドを調整することで、反応速度や最もガスが発生するタイミングなどを調整することができます。

ミョウバンは大丈夫なのか?


ベーキングパウダーの中には、焼ミョウバンが入っています。ミョウバンはアルミニウムの化合物なのですが、アルミニウムを摂取し過ぎると、腎臓機能が低下する可能性があります。

実際、日常生活でのアルミニウムの摂取量のうち、ベーキングパウダーのような膨張剤を使ったお菓子が大きな比重を占めています。

ただし、現在では厚生労働省の指導により、膨張剤に使うミョウバンの量は減らされています。現在では成人の摂取量で、多めに見積もっても、安全基準の1/3程度と推定されているので、そんなに神経質になる必要はないようです。

それでも、やっぱり気になりますよね…。”なんか怖いなぁ”という人は、フワフワサクサクのお菓子は減らした方が良いかもしれませんね。

遮断剤

ガス発生剤と酸性剤の反応を防止する成分です。

ベーキングパウダーは、生地に混ぜ込んだ時に効果が出て欲しいものですよね。

袋に入っている時に、反応が進んでガスが出てしまっては無意味なので、保管中には反応が進まないようにする必要があります。

遮断剤はそのような目的で入っている成分です。

遮断剤に使われる主な成分

  • でんぷん
  • コーンスターチ
  • 小麦粉

ガス発生剤と酸性剤は、水分が加わることで、反応を開始します。

そこで、でんぷんなどを乾燥剤代わりに入れておくことで、反応を防ぐわけです。

ここで注意が必要なのは、遮断剤以外の成分は、ほぼ化学合成された物質だということです。

自然由来だと謳っているどんな添加物でも、純度を上げるためには、最終的に必ず科学的な精製工程があります。でなきゃあんなに、綺麗に真っ白になったりしません(-_-;)

自然のもの以外は、体に入れたくないなと思っている人にとっては、注意が必要ですね。

じゃあ、重曹だったら、大丈夫なんでしょうか?

次は重曹との違いを見ていきます。

スポンサーリンク


重曹との違い

掃除などで重曹を使う場合、環境にやさしいとか、安全だなんて言いますね。

じゃあ、料理に使う場合はどうかというと、人によってはちょっと抵抗を感じるかもしれません。

重曹の主成分は”重曹”という名前だけあって、炭酸水素ナトリウムです。

でも、重曹だって工業的に、化学合成されてできた物質です。

世の中の多くの食品添加物と同じように、何らかの化学処理の結果作り出された物質なんです。

これを聞いて、“絶対に食べたくない”と考えるか“そんなこと言ったら何も食べられなくなるよね”と考えるかは、ちゃんと考える必要がありますね。

スポンサーリンク


ベーキングパウダーと重曹の使い分け

ベーキングパウダーも重曹も、優劣はありません。

その特徴に応じて使い分けられています。

ベーキングパウダーの用途

多くのベーキングパウダーは、反応が緩やかに進むように調整されています。そのため、ゆっくりときめ細やかな泡ができるため、食感が良くなります。

ただし、十分長い加熱時間がないと、効果がありません。

ベーキングパウダーが向いているお菓子

  • パウンドケーキ
  • スポンジケーキ
  • マフィン
  • ビスケット

重曹の用途

重曹の場合は、十分な酸性成分があれば、一気に反応が進んで、ガスが大量発生します。

その一方で、酸性成分(ヨーグルト、柑橘系の果汁、チョコレート、はちみつ)が足りないと、生地中に重曹が残ってしまい、風味を悪くしてしまいます。

ベーキングパウダーが向いているお菓子

  • カルメ焼き
  • どら焼きの皮
  • 十分な酸性成分が含まれるお菓子

重曹には酸性剤が入ってないため、生地の中に十分な酸性成分が無い料理には適さないです。

また、短時間調理の場合は、酸性剤の効果が出るまでの時間が足りないため、重曹を使うことが多いようです。

スポンサーリンク


まとめ

というわけで、今回はベーキングパウダーの成分を紹介しました。

ベーキングパウダーの成分や特徴を簡単にまとめておきますね。

  • ベーキングパウダーはガス発生剤、酸性剤、遮断剤の3つが主成分
  • 遮断剤以外は合成添加物
  • ベーキングパウダーは加熱時間が長い料理に向いている
  • 重曹は加熱時間が短く酸性物質が十分含まれる料理に向いている

ベーキングパウダーの成分はほぼ合成添加物です。でも、そんなこと言いだしたら、この世の食べ物はみんなNGになってしまうでしょう(-_-;)

そもそも、ベーキングパウダー自体が添加物のようなものなので、その辺りを考慮して使うかどうか考えてみてくださいね。