宮城県亘理町の名物に、はらこ飯という、鮭といくらが上に載った炊き込みご飯があります。
私はこのはらこ飯が大好物です。(↓これがはらこ飯です)
そこで、どうせなら自分で作ってしまおうと考え、スーパーで鮭といくらを買おうとしたところ、その時たまたま一緒にいた友人にこう言われました。
「はらこ飯は筋子で作るから、いくらじゃダメなんだよ~」
どっちも似たような味だし、なんでダメなんでしょうか?ていうか、そもそもいくらと筋子って何が違うんでしょうか?
何としてもはらこ飯を自分で作りたい私は、このままでは納得できません。
そこで、いくらと筋子の違いを徹底的に調べたところ意外なことが分かりました!
というわけで、今回はいくらと筋子の違いをお伝えします。
目次
いくらと筋子の違い
それでは、早速いくらと筋子の違いを見ていきましょう。
いくらと筋子の違いには、どのようなものがあるのかを分かりやすく表にしてみました。
項目 | いくら | 筋子 |
---|---|---|
材料 | 白鮭(一般的な鮭)か樺太鱒 | 白鮭(一般的な鮭)か樺太鱒 |
作り方(味) | 卵巣から取り出した卵巣膜付きの卵を、塩漬け、またはしょうゆ漬けにする | 卵巣に入ったままの卵を、そのままの状態か、塩漬けにする |
卵の熟成度 | 産卵直前の熟成した状態の卵 | できたばかりの未熟状な態から、産卵する直前の熟成されたものまで様々 |
こうして比較してみると、決定的な違いは、いくらは卵が粒ごとにバラバラの状態であること、筋子は卵巣膜付きの状態であることです。
一部のWebサイトの記事では、いくらと筋子の違いを、卵の熟成度の違いとしているものもあります。しかし、実際は必ずしもそうではなく、とにかく卵巣膜付きの状態であれば筋子と呼ぶのです。
ということは、味付けも熟成度も同じ場合があるということです。こうなると、違いはバラバラか袋に入ったままかだけになってしまいます。そのため、いくらと筋子は、実はほぼ一緒の場合があるのです。
というわけで、まずはいくらと筋子の違いを見てみました。
ほとんど一緒の場合があるなんて意外でしたね。
それなら、なぜ呼び名が分かれているんでしょうか?
次はいくらと筋子の名前の由来を見てみましょう。
いくらと筋子の名前の由来
いくらと筋子の名前の由来を調べてみると、ここにも意外なことがありました。
それぞれ順番に見てみましょう。
いくらの由来
いくらは実はロシア語で魚の卵を意味するイクラー(икра)という言葉から来ています。
実は元々は、日本では、袋に入ったままの筋子とバラバラにした状態のものを区別する呼び名はありませんでした。
つまり、筋子という呼び名しか存在しなかったのです!
しかし、ある時にロシア人がバラバラの状態の鮭の卵を、”イクラー”と呼んでいるのを耳にした日本人が、それをバラバラ状態の鮭の卵のことだと思い、”いくら”と呼ぶようになったのです。
しかし、実際のロシア語のイクラーは魚の卵全般を指すので、いくらは厳密には赤い卵という意味で、クラースナヤ・イクラー(красная икра)と呼ぶのだそうです。
筋子の由来
筋子の名前の由来は、分かりやすいです。
卵巣から取り出しただけの酒の卵は、卵巣膜の筋がたくさん付いているため、筋のついた鮭の子という意味で、筋子という名前になりました。
筋が付いていれば筋子なので、卵の熟成度は関係無いようです。
さてここまでで、いくらと筋子の違いが明らかになりました。
ということはやっぱり、はらこ飯にはいくらを使っても良いってことになりそうですが、実はそうじゃないんです。
それには東北地方だけに存在する、筋子とはらこ(腹子)の違いというものがあるからです。
次は筋子と腹子の違いを見てみましょう。
腹子と筋子の違い
全国的には筋子は、卵巣膜が付いているかどうかだけで、生の状態か塩漬け加工されているかは関係ありません。
しかし、東北地方の場合だけ、筋子は塩漬けにしたもののみを指し、腹子は生のままのものを指すのです。
だからはらこ飯を作る際には、いくらはもちろん筋子もダメってことです。
加工されてない生の鮭の卵を使うことがはらこ飯の条件なのです。
冒頭の私と友人のやり取りは、どっちも間違ってたってことですね…。
まとめ
というわけで、今回はいくらと筋子、更には腹子の違いまでお伝えしました。
それぞれの違いは微妙なもので、違うような同じようなものだったんですね。
もう一度、今回の内容をおさらいしておきますね!
- いくら
- 筋子
- 腹子
鮭の卵巣から取り出してバラバラにした状態の卵。塩漬けと醤油漬けの両方がある。
鮭の卵巣から取り出して卵巣膜付きのままの状態の卵。生のままと塩漬けの両方がある。
鮭の卵巣から取り出した卵巣膜付きの状態の卵。生のままのものを指す。
こうして見てみると、それぞれの違いは微妙なものなんですね~。
最近はいくらの値段も高くなる一方ですね…。
そんな贅沢ないくらや筋子の違いを理解して、美味しく食べてくださいね!