そばは日本人のソウルフードですよね!
他の麺類と違うのは、麺自体が主役の食べ物だということです。それだけで、味と香りが豊かですし、使う粉や配合が変われば、また違った味と風味になります。
私もそばはとっても好きなんですが、つい先日、全国のそば粉を扱う気合の入ったそば屋さんに行った時に、困ってしまいました。
それは、田舎そばとか更科そばといった、種類の違いがよく分からなかったことです…。
それ以外にも、韃靼そばとか藪そばとか、色んな種類があります。これらの違いがよく分からないままで、そばを食べているのは私だけじゃないんじゃないでしょうか?
いったいこれらの違いどんなものなのでしょうか?
というわけで、今回はそばの種類の違いを粉の種類からメニューの違いまで、徹底的に解説しちゃいます!
目次
そばに使う粉の違い
そばの種類を解説する前に、まずはそば粉の違いから簡単に説明します。
小麦粉には薄力粉、強力粉、全粒粉なんて違いがあるように、そば粉にも4種類あります。
それぞれの名前と特徴は次のようになります。
- 一番粉
- 二番粉
- 三番粉
- 末粉
4種類とも順番に説明しますね!
一番粉
そば粉を挽く時には、石臼を使います。
その際、そば粉全体がまんべんなく挽かれるわけではなく、そばの実の内側から順番に粉になるのです。
一番粉は最も初期に挽かれて出てくる粉で、そばの実の胚乳の部分です。
別名、更科粉とも呼ばれます。
粘りが少ない代わりに、クセが無く、上品な香りが特徴です。
二番粉
二番粉は胚乳とそばの実の表面付近との間の部分が挽かれた粉です。
別名、中層粉とも呼ばれます。
味や香り、粘りなどのバランスが良い粉です。
三番粉
三番粉はそばの実の一番外側の表面部分が挽かれた粉です。
黒くて、最も栄養価が高く、香り豊かな部分です。
そばをそばらしい風味にするのに、必須の粉です。
末粉
更に挽き続けていると出てくるのが、末粉と呼ばれる粉です。
最も表面の部分なので、繊維質が多く、香りもクセも強い、良くも悪くもそばらしい部分です。
個人的には三番粉や末粉がしっかりと使われているそばが一番好きですけどね^^
というわけで、そばの粉の違いが分かったところで、いよいよそばの種類の違いを見ていきましょう。
粉の種類による違い
知ってるようで知らないのが、そばを打つ時に使う粉の種類による違いですよね。
主な違いで言えば、次のようなものがあるんです。
- 田舎
- 更科
- 藪
- 韃靼
- 二八
- 外二八
- 十割
どれも一度は聞いたことがあるんじゃないかと思います。
でも、違いを説明しろと言われると、曖昧なんじゃないかなと思います^^;
というわけで、順番に説明していきますね!
田舎
田舎そばはそばの実の殻の部分まで挽いた粉、いわば小麦粉でいうところの全粒粉で作るそばです。
色が黒くて、栄養価も高く、非常に香りが強いそばです。
長野県や山村で食べられることが多いそばです。
個人的には、田舎そばが一番好きです。
これくらいそばの香りがしないと、そばを食べた気になりませんね^^
更科
更科そばは文字通り、更科粉(一番粉)を使って打ったそばです。
上品な香りで、東京で好んで食べられるそばです。
粘りが少ないため、つなぎ無しで打つのが非常に難しいのが特徴です。
藪
藪そばは甘皮が付いた状態のそばの実を挽いた粉、いわば米で言うなら玄米の状態の実を挽いた粉で打ったそばです。
甘皮の部分は薄い緑色のため、出来上がった麺も薄緑色をしているのが特徴です。
元々は江戸の千駄木にあった、『蔦屋』というお店が出していたそばです。
蔦屋があった団子坂の周辺には、竹藪が広がっていたため、地元の人からは『藪そば』という俗称で呼ばれるようになりました。
そのため、この名前が定着してしまったそうです。
韃靼
韃靼そばは、普通のそばとは違う品種です。
韃靼そばには、そばの健康成分であるルチンが非常に多く含まれていて、その量はなんと普通のそばの100倍です。
しかし、このルチンが分解されると、苦みの成分であるケルセチンが作られてしまいます。
普通のそばはルチンの量が比較的少ないので、それが分解されてケルセチンができても大して苦くありません。
しかし、韃靼そばの場合は、元々のルチンの量が非常に多いので、苦さも半端ありません。あるデータによると、普通のそばの680倍も苦いとか…。
そのため、普通の食べ方では、苦くて無理なので、日本ではほとんど食用として用いられていません。
韃靼そばは健康食品としての用途が主なものです。
二八
二八そばとは、そば粉に加える小麦粉の量を表しています。
そば粉は、小麦粉に比べてグルテンの量が少ないため、麺打ちには高い技術を必要とします。
そこで、粘りを出して、麺打ちをしやすくする目的で小麦粉を混ぜるのが一般的です。
二八そばは、つなぎの小麦粉とそば粉を2:8の割合で配合して打ったそばを指します。
小麦粉が混ざってると聞くと、そばの劣化版のようなイメージですが、小麦粉のお陰で、麺に粘りとコシが出るため、これはこれで美味しいそばになります。
外二八
外二八そばも基本的に二八そばと同じ、小麦粉とそば粉をブレンドしたそばです。
二八そばと違うのは、小麦粉とそば粉の比率が2:10であることです。
つまり、全体の16.7%が小麦粉で、83.3%がそば粉ということです。
二八そばに比べて微妙にそば粉の比率が高いですが、普通の人には二八そばとの差は感じられないかもしれませんね^^;
十割
十割そばは、文字通りそば粉100%のそばです。読み方は”じゅうわりそば”が一般的で、”とかちそば”とか”とわりそば”と読む時もあります。
グルテンが少ないそば粉だけで麺を打つには、高い技術が必要です。
具体的にはお湯を加えて、でんぷんを糊状にして、生地のまとまりを良くするなど、工夫が必要です。
また、粘りが少ない分、切れやすかったり、食感がボソボソしやすいという特徴もあります。
麺打ちの難しさや食感の悪さなどの理由から、そば屋さんでもなかなか十割そばを出すところは少ないようです。
以上がそばの種類の違いです。
でも、ここまで説明したのはあくまでもそばの麺の違いだけに過ぎません。
同じそばの麺を使っていても、メニューにも様々な違いがあります。
今度はそんなメニューの違いも解説しちゃいます。
メニューの違い
そば屋さんに行くと、メニューも様々ですよね。
それぞれがどのような具や味なのかは、分かっていても、その由来はよく分からないですよね?
色々あるメニューの中でも、特に由来がよく分からないのが、この6つではないでしょうか?
- かけ
- もり
- ざる
- せいろ
- 南蛮
- おかめ
中にはほとんど同じようなメニューもあるのに、しっかりと別メニューで別料金のものまであります。
というわけで、それぞれ順番に説明しちゃいます。
かけ
現代のかけそばは、特別な具は加えずに、どんぶりに入った熱いつゆにそばの麺を入れた食べ方です。
同じような食べ方をした時のうどんの場合は、”素うどん“と呼ぶので、個人的には”素そば“でも良いんじゃないかと思ってしまいますが、この呼び名にはちゃんと由来があります。
かけそばはそばの麺に熱いつゆを”ぶっかける”ことから、元々は”ぶっかけそば“と呼ばれていました。
それが縮まって、”かけそば“と呼ばれるようになったのです。
だから、厳密には、熱いつゆの中に入ったそばは、全てかけそばと言えないこともないわけです…。
もりとざるとせいろ
もりそば、ざるそば、せいろそば…。刻み海苔が乗っていたり、そばが盛られている器が違ったりと、微妙な違いがあるものの、実際には違いらしい違いは感じませんよね?
それもそのはず、現代ではほとんど違いはありません!
強いて言えば、違いはこんなところです。
- もりそば
- ざるそば
- せいろそば
せいろの上に、そばの麺を盛って出したもの。食べる時はしょうゆベースのつゆに漬けて食べる
せいろの上に、そばの麺を盛って、刻み海苔をトッピングしたもの。もりそばと同様につゆに漬けて食べる
もりそばやざるそばよりも高級感を出すために呼び名を変えただけ…
厳密には現代でも、つゆや麺の種類を差別化しているお店もあるようですが、ほとんど一緒と言っても過言ではありません。
でも、元々はそれぞれにちゃんとした違いがあったんです!
でも、それを説明しだすと、とても長くなるので、詳しくはこちらの記事をご覧ください^^;
⇒ もりそばとざるそばの違い!ざるの方が高い理由を解説!
南蛮
一言で南蛮そばと言っても、鴨南蛮とかカレー南蛮とか、様々な南蛮そばがありますよね?
いったい”南蛮“ってどういう意味なんでしょうか?
私はてっきり、肉やカレー味のような洋風のものなので、南蛮なのかなと思ってたのですが、もの凄く意外な意味でした。
実は南蛮とはネギのことを指しているんです!
江戸時代に日本に来た南蛮人(ポルトガル人やスペイン人、オランダ人)が、健康維持のためにネギを良く食べていたことから、ネギのことを南蛮と呼んでいたのだそうです。
南蛮人は通常、玉ねぎを良く食べていたのですが、当時の日本には玉ねぎが無かったため、ネギで代用していたのだとか…。
そこで、ネギを具材に使っているそばやうどんを○○南蛮と呼ぶようになったのです。
言われてみれば、確かに全ての南蛮メニューには、ちゃんとネギが入ってますね。
普通のメニューにだってネギは入っていることがほとんどですが、ポイントは使われている量です。刻んだネギが少しだけのものは、南蛮という名を冠することは許されないのです^^
つまりこれらのメニューは、ネギがメインってことだったんです…。意外でしたね^^;
おかめ
おかめそばとかおかめうどんというメニューもありますよね?
ほうれん草やかまぼこなど、具の種類が多いのが特徴ですが、なんでまた”おかめ”なんて名前なんでしょうか?
実はこの”おかめ”『傍目八目(おかめはちもく)』という言葉から来ています。”傍目八目”とは、囲碁などでは、対局中の当事者よりも、傍らで冷静に眺めている人の方が八目分得するような、良い手に気付きやすいということから来ている言葉です。
そこで、五目よりも更に具が多いという意味で、具だくさんのそばやうどんを、おかめそば、おかめうどんと呼ぶのです。
個人的に、具沢山なおかめそばが好きだったんですが、単なるシャレだったとは知りませんでした…。
まとめ
というわけで、今回はそばの種類を麺やメニューの違いから色々と見てきました。
歴史がある食べ物というのは、調べてみると色んな発見があるものですね…。
もう一度、これらの違いをおさらいしておきますね!
- 田舎
- 更科
- 藪
- 韃靼
- 二八
- 外二八
- 十割
そば殻まで挽いた全粒粉で打ったそば。そばの香りが最も強いのが特徴。
そばの実の胚乳部分の粉で打ったそば。クセが少なく、上品な香りが特徴。
そばの実の甘皮まで挽いた粉で打ったそば。薄い緑色が特徴。
通常のそばの100倍のルチンを含む、健康食品専用のそば。非常に苦くて食用には不向き。
小麦粉が20%、そば粉が80%の配合のそば。粘りやコシがそば100%の麺よりも強い。
小麦粉が16.7%、そば粉が83.3%の配合のそば。
そば粉100%のそば。二八そばより切れやすく、ボソボソした食感になりやすい。麺打ちには高い技術が必要。
【メニューの違い】
- かけ
- もり
- ざる
- せいろ
- 南蛮
- おかめ
特別な具材を入れず、そばの麺を熱いつゆに入れたもの
ゆでたそばの麺をせいろの上に盛ったもの。しょうゆベースのつゆに漬けて食べる。
ゆでたそばの麺をせいろの上に盛り、刻み海苔をトッピングしたもの。しょうゆベースのつゆに漬けて食べる。
もりやざるよりも高級感を出すために、あえて呼び名を変えているだけ。
具材にネギを使ったメニュー全般。
ほうれん草やかまぼこなど、具材の種類がとても多いもの。
私たちはそばを良く食べていると思いますが、ちゃんと調べてみると、実はこんなにも奥が深いものだったわけです。
ちゃんとした知識を身に付ければ、更にそばを美味しく食べることができるはずです!
是非、皆さんも自分好みのそばを楽しんでくださいね(^^)/