日本語の愛の意味って、かなりふんわりした曖昧なイメージだと思うのは私だけでしょうか?
愛と恋の違いについて、少し調べただけでも、様々な情報があります。しかし、どれも抽象的で感情のレベルでしか説明していないので、釈然としないというのが私の印象です。
実は愛と恋はちゃんと定義があって、正しく理解して実践するのであれば、どちらも人生を素晴らしくしてくれるものです。
そして、何よりも恋愛も上手にできるようになりますよ!
そこで、今回は愛と恋の違いを正しく理解して、それぞれを上手に実践する方法を解説したいと思います。
目次
愛と恋の意味
愛と恋の違いは、実は日本人にはイマイチ理解しにくいものです。というのも日本人には元々愛という概念がなく、明治時代になって、日本にキリスト教が本格的に広まったことで愛の概念も知られることになったのです。
つまり、愛と恋の違いは、キリスト教でこの2つがどのように定義されているかを見てみると理解することができます!
まずは愛と恋の定義の違いを、キリスト教から見てみましょう!
愛の定義
まずは愛の定義からです。
新約聖書はギリシャ語で書かれているのですが、日本語に翻訳された聖書で単に愛と書かれているところでも、ギリシャ語だと3つの単語が使い分けられています。
その3つとは次の言葉です。
- エロース
- フィーリア
- アガペー
日本語では「性愛」と翻訳される。他人を好きという気持ちを満たしたい欲求。
日本語では「友愛」と翻訳される。友情や仲間を大切に気持ち。
見返りを求めず、自分を犠牲にしても、相手を満たす気持ちや行動。「無償の愛」と表現されることもある。日本語にはこれを表す言葉は無い。
実は明治以前の時代には、愛という言葉は、性愛を表す言葉として使われていました。つまり、キリスト教の定義でいうところのエロースの意味です。
しかし、日本にキリスト教が広まり、元々日本には存在しないアガペーの概念を表す言葉が必要になりました。最初にキリスト教が伝来してから、明治になるまでは実はアガペーは「御大切」「ご大切」と翻訳されていたのです。
それが、明治時代になって、聖書が日本語に翻訳された時にフィーリアやアガペーは「愛」と翻訳されてしまいました。そのため、日本語の愛には元々あったエロースの概念に加えて、フィーリアやアガペーの概念まで加わってしまいました。
そのため、日本では愛と言った場合には、一般的にこの3つの概念全てを指しています。しかし、キリスト教では愛と言った場合にはエロースの意味は含まれません。
この日本社会での一般的な意味とキリスト教での意味の違いが、愛という概念を曖昧にしてしまっている原因といえます。
恋の定義
一方の恋の定義は単純です。
恋の定義は昔から他人を好きになる性愛の意味です。キリスト教の愛の概念ではエロースと同じです。
これは昔からずっと変わらない意味で使われています。
というわけでまずは愛と恋の定義の違いについて見てきました。
愛と恋の概念は分かりましたが、細かい違いについてはまだまだ曖昧ですよね。そこで、次からは愛と恋の違いについて、更に詳しく見ていきたいと思います。
愛と恋の違い
愛は「恋(=性愛)」、「友愛」、「無償の愛」の全てが含まれてしまった言葉です。ここが愛と恋の違いを曖昧にしてしまっている原因です。そこで、ここではこれらの3つをしっかりと区別して、それぞれの違いを解説していきます。
ちなみに「無償の愛」は固い表現なので、ここからは「無償の愛」は単に「愛」と表現することにします。
それぞれの違いのポイントは次の5つです。
- 源の違い
- 誰の利益になるか?
- 持続する時間
- 目的の違い
これらのポイントを理解すると、どのようにすれば、良い人間関係が作れるのかも見えてきます!順番に解説していきますね。
源の違い
まずはこれらの3つの愛が出てくる源の部分です。実はこの源のポイントが一番の違いと言っても過言ではありません。
恋は子孫を残すための本能から出てくる気持ちで、どちらかというと衝動的でコントロールが効かない感情です。
それに対し、愛は本能や感情とは正反対のもので、自分の理性で選択して出てくる行動のことです。
友愛の場合は、共通の目的を達成するための仲間に対する気持ちのため、本能的な部分と理性で選択することの両方の場合があります。
恋は本能的なものなので、ある日突然、燃え上がって、コントロール不能になります。一方の愛の方は自分の理性で選択できるため、完全に自分でコントロールできます。
まずこの2つの違いを理解することが大切なんです!
誰の利益になるか?
次は3つの愛、それぞれが誰の利益を求めているものなのかということです。
これは次のようになります。
- 恋
- 友愛
- 愛
自分
自分も含めた友人や仲間全員
相手
友愛の対象は友人や同じ目標に向かっている仲間なので、自分を含めた全員が対象になるわけです。
「恋は自分の利益を求める自己中心なものなのか…」とガッカリした気持ちになるかもしれませんが、そんなことはありません。
正しく理解すれば、恋には素晴らしい効果があり、人生を素晴らしくしてくれます。
大切なことは恋は基本的に自己中心な気持ちだと理解することです。そして、客観的に自分を見る気持ちを忘れず、愛と組み合わせて関係を築いていくことです!
目的の違い
3つの愛は目的も違います。この目的の違いを理解することが、最も大切なことです!
それぞれ次の目的があります。
- 恋
- 友愛
- 愛
好きな相手と結ばれること。最終的には子孫を残すことが目的。
協力して、共通の目的の達成や、困難を乗り越える事。
人類全てが豊かで幸福な生活をするため!?人間が人間であるため!?
恋と愛では目的が大きく違います。この違いはとても重要なので、もう少し詳しく解説します!
恋の目的
恋の目的は最終的には子孫を残すことです。
恋をしている時はなんとも言えない幸福感と、満たされない気持ちへの渇望などの様々な強い感情が湧いてきます。実は脳はわざとこのような強い感情が湧く状態にしています。
人間にとって、誰かを好きになって子孫を残そうとするのは、とってもリスクのあることです。男性であれば自分の財産や人生の時間を犠牲にする必要があります。
女性であれば妊娠出産は誰かから守ってもらう必要のある無防備で危険な状態です。
人間は普通に生きていると、このようなリスクを取ろうとは自然には考えません。そこで、人間は恋している状態になることで、積極的に子孫を残すようになっていると言われています。
愛の目的
一方で愛の目的は一言では言い表せないほど深くて様々なものです。
色々な動物で実験してみても、他者に対して、見返りを求めずに無償で何かの利益を与えるような行動をする動物はいないそうです。つまり、愛の概念は人間にしか存在しないのです。
では、人間はなぜ愛で誰かをあいするのでしょうか?それは、弱さを補い合って、助け合うことで、一緒に困難を乗り越えることや、1人では実現できない事を協力してなり遂げるためかもしれません。
人間が愛し合う生き物でなければ、ここまで発展することはなかったでしょう。愛し合うことは人間が人間らしくあるために最も重要な事と言えるでしょう!
持続する時間
3つの愛は、恋とそれ以外の2つで持続時間に大きな差があります。
それぞれの持続時間はこの通りです。
- 恋
- 友愛と愛
1年~3年
一瞬の時もあれば、ずっと続くこともある。自分の理性で選択することなので、全ては自分次第。
恋が持続するのは長くても3年です。恋にはリスクがあると解説しましたが、いつまでもこのリスクが続くのは、問題があるため、時間が経つと恋が冷めるようにできているのです!
一方で友愛と愛の持続時間は、自分の選択次第のため決まっていません。
というわけで、愛と恋の違いについて、詳しく見てきました。これらを理解して、愛と恋を上手に使い分けると人間関係がうまくいくだけでなく、人生を素晴らしくすることができます!
最後に愛と恋を上手に使い分ける方法をお伝えします!
愛と恋の上手な使い分け
既に説明した通り、日本語の愛は、3つの愛の概念が全て混じった言葉になっているため、分かりにくくなっています。しかし、恋と愛を理解して、上手に使い分けることが可能になります。
ここでは次の2つのポイントで愛と恋を上手に使い分ける方法を説明していきます!
- 上手に恋をするコツ!
- 愛深くなるための方法!
上手に恋をするコツ!
恋には素晴らしい効果があります。それは恋をしている時には、その恋を成就させるために、心が高揚して何でもできる気持ちになります。好きな人のためには何でもできるという自信に満ちた気持ちになるのです。
この状態の時は、とてもやる気が出て、生産性が上がります。そのため、目標を達成したり、仕事で成果を出すチャンスなのです!
しかし、同時に恋をしている時は、周りが見えなくなります。特に自分の恋を成就させるために、自己中心になっている状態なので、人間関係では思わぬトラブルにもなりかねません。
そこで、上手に恋をするコツは「今、自分が恋をしているという自己認識を持つ事」です!
自分が恋をしている事を認めるということは、自分が相手のためにしている行動は、最終的に自分のためであることも同時に認めることになります。
それではロマンチックじゃないと感じるかもしれません。場合によっては自己嫌悪に陥るかもしれません。しかし、心配する必要はありません。
大切なのは、例え恋心が消えたとしても、愛し続けるという決心と、実際にそれを実行することです。
時間が経てばそのうち相手の欠点も見えてきます。やりたくないと思う事をお願いされるかもしれません。その時に恋ではなく、相手を愛することが重要なのです!
愛深くなるための方法!
では、愛を深くするにはどうすればよいのでしょうか?
愛は成長するものです。繰り返し実践することで強く深くすることができます。具体的には次の2つの方法で成長させることができます!
- 誰から愛してもらう
- 誰かを愛する
「自分は誰の助けも必要ない!」なんて態度は捨てて、素直に誰かに愛してもらうことで、愛の素晴らしさを実感してください。そうすることで、感謝が生まれます。それが、誰かを愛する動機になります!
ちょっとしたことで良いので、誰かに見返りを求めずに何かをしてあげてください。その人からの感謝が、自分の中で喜びになって、また誰かを愛する動機になります。
愛し合うことで、良い循環が生まれてどんどん愛が深くなっていきます!
是非、普段の生活で実践して、恋と愛を上手に使い分けてください!
まとめ
今回は愛と恋に違いについてお伝えしました。
こうして見てみると愛と恋は大違いですね!簡単におさらいすると次のようになります。
- 愛
- 恋
見返りを求めず相手のためになることをすること。本能や感情ではなく、自分の意志で選択して実行するもの。
相手を好きな感情を満たしたいという衝動的な気持ち。そして、その気持ちを満たすためにする行動。
愛と恋を上手に使い分けるコツは愛と恋を理解して、自分が今どちらの動機で行動しているか理解することです。
とは言っても、なかなか難しいですよね!?私も自分が一番大切な人間なので、誰かを愛そうと思ってもなかなか難しいものです!
私の場合は聖書のこの一節をいつも心にとめて、愛を実践しています。皆さんにもシェアしますね!
与えなさい。そうすれば、あなたがたにも与えられる。押し入れ、揺すり入れ、あふれるほどに量りをよくして、ふところに入れてもらえる。あなたがたは自分の量る秤で量り返されるからである。
【ルカによる福音書6章38節】
皆さんが愛と恋の違いを理解して、素晴らしい人生を送れるように願っています!