毎日食べる物は安全な物を食べたいと思うのが、当然だと思います。どれが安全な食べ物か判断する際に、まず見るのがその食べ物の成分だと思います。
そうやって成分を見てみると、様々な食品の成分にアミノ酸と書いてあるのに気付きました。アミノ酸が何なのか気になって調べてみると、それがグルタミン酸ナトリウムなどを主成分としたうま味調味料のようです。
でも、うま味調味料っていわゆる化学調味料の事ですよね…?化学調味料と言えば、体に悪い物というネガティブなイメージです。そんなもの体に入れても大丈夫なんでしょうか?
疑問に思った私はいつもの通り徹底的に調べてみました!しかし、調べてみると「化学調味料が危険なんて嘘だ」という意見もあれば、「やっぱり危険だから、そんな意見に騙されるな」と賛否両論です。
いったいどっちが本当なんでしょうか?
というわけで、今回は化学調味料が危険とされる根拠を分析して、どっちが本当なのかお伝えしたいと思います!
目次
化学調味料が危険とされる根拠
化学調味料は現在ではうま味調味料と呼ばれています。その理由は化学調味料という名前だと、科学的に作られた危険なものという悪いイメージがつきまとうためだそうです。
「やっぱり後ろめたい理由があるから、うま味調味料なんて呼んでるんじゃないか~」といきなり悪いイメージを持った私は徹底的に化学調味料が危険とされる根拠を調べてみました。
すると化学調味料が危険とされる理由が次の2つであることが分かりました。
- 化学調味料の製法
- グルタミン酸ナトリウムの害
それぞれについて、説明していきますね!
化学調味料の製法
そもそも化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは、人間の5番目の味覚であるうま味を感じさせる成分です。
明治40年に日本の科学者の池田菊苗がうま味の味覚があることを発見し、明治42年に味の素という商品名で、グルタミン酸ナトリウムを主成分とするうま味調味料を発売しました。
この味の素の製法は次のようなものでした。
【当初の製法】
- 小麦などに含まれるタンパク質であるグルテンを取り出す。
- グルテンに塩酸を加えて反応させてグルタミン酸を作る。
- グルタミン酸に水酸化ナトリウムを加えて中和させ、グルタミン酸ナトリウムを作る。
この製法は原料こそ自然由来の物を使っていますが、塩酸や水酸化ナトリウムなどで、化学処理をするものでした。これでも十分化学的ですが、この製法はお金がかかるため、別の製法が考え出されました。
【やがて開発された安い製法】
- 石油を精製して、プロピレンを取り出す。
- プロピレンを原料にしてアクリロニトリルを作る。
- アクリロニトリルを化学処理して、グルタミン酸ナトリウムを作る。
この製法になると原料は全て工業的に合成された化学物質のみになります。うま味調味料が当初、化学調味料と呼ばれていた理由はここにあります。
化学調味料の原料のプロピレンは石油から生成した物質なのですが、この生成の段階でどうしても不純物が混じってしまいます。この不純物の中にはタールといった発がん性の高い物質も含まれます。
化学合成する段階で、このような不純物を完全に取り除くことは困難なため、化学調味料は危険なものというイメージが定着してしまう一因になりました。
グルタミン酸ナトリウムの害
グルタミン酸ナトリウムには、いくつかの害が報告されています。
主なものは次の3つです。
- 偏頭痛を引き起こす
- 緑内障を引き起こす
- 味覚障害
それぞれの危険性を説明しますね!
偏頭痛を引き起こす
アメリカで1968年に中華料理店で中華料理を食べた人が、頭痛や歯の痛み、痺れなどの症状を訴える事件が発生しました。これらは中華料理店症候群と呼ばれました。
後の研究で、アメリカの米国国立医学図書館と米国国立衛生研究所が、グルタミン酸ナトリウムの大量摂取は偏頭痛の原因になると発表しました。
緑内障を引き起こす
2002年に弘前大学で行われた実験で、エサに全体の重さの10%~20%分のグルタミン酸ナトリウムを入れて、ラットに食べさせる実験をしました。
その結果、グルタミン酸ナトリウムを過剰摂取したラットの目に、グルタミン酸ナトリウムが蓄積して、緑内障を引き起こしました。
味覚飽和
普通の調味料はたくさん使えば使うほど、味が濃く感じるものですが、グルタミン酸ナトリウムはある一定量を超えると、味の濃さが一定になってしまいます。
これを味覚飽和といいます。この味覚飽和のせいで、気付かないうちに大量のグルタミン酸ナトリウムを取ってしまうことがあるのです。
味覚飽和は直接的な害ではありませんが、グルタミン酸ナトリウムの過剰摂取の原因になります。
このように化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムには、様々な害があることが分かっています。これらが化学調味料が危険だと主張する人たちの根拠になっています。
しかし、更に色々調べてみると、これらの主張は現実的ではないようです。そこで、今度は現在のグルタミン酸ナトリウムの製法や、実際に健康に害が出る場合はどんな時かを見ていきましょう!
化学調味料の真実!
化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムには、確かに色々な害があります。しかし、実際に害が出るのは、間違った摂取の仕方をしているからです。
グルタミン酸ナトリウムが危険だという人のほとんどは、どういう摂取の仕方をするかという観点を考慮に入れてません。また、化学的な製法で作っているからというだけで、根拠もなく不安を煽っている人も少なくありません。
ここからは現在の化学調味料の製法と、健康に害が出る取り方について説明します。
現在の製法
現在のグルタミン酸ナトリウムの製法は、味の素のWebサイトによると次のように書いてあります。
- サトウキビを絞って煮詰める。
- 煮詰めた糖蜜に、糖からグルタミン酸を産生する菌を入れる
- 十分に発酵させたら乾燥させる
- グルタミン酸ナトリウムの結晶を集める
実はこの手順にはイメージが悪くなる部分が除かれています。まず、2で使う糖蜜は砂糖を作るための糖分を取った後の廃糖蜜というものを使っています。
廃糖蜜自体は害のあるものではなく、むしろサトウキビの糖分以外の様々な栄養が凝縮されている優れモノです。しかし、廃糖蜜という名前が、廃棄物のような印象を受けるため、隠しているのでしょう。
それに廃糖蜜というのは、ミネラルを始めとした様々な不純物が混じっています。その中からグルタミン酸ナトリウムだけを取り出すには、様々な化学処理が必要です。
グルタミン酸ナトリウムの今の製法は、自然なものである事をアピールしていますが、実際は今でも化学処理の工程は残っています。
結局、今でもうま味調味料には化学処理の工程が残っているわけです。必死に良いイメージ作ろうとしてるけど嘘じゃないか~と思ってしまいますよね?しかし、そもそも化学処理してるとなぜ危険なのでしょうか?
化学処理とグルタミン酸ナトリウムの害には関係があるのでしょうか?次はその根拠について考えてみましょう!
化学調味料は本当に危険なの?
ここまででは、うま味調味料の製法には、今でも化学処理の工程が残っていることが分かりました。
では、今のうま味調味料は本当に危険なのか見てみましょう!
「化学処理=危険」とは限らない!
化学処理をしていると聞くと、それだけで危険なイメージを持ってしまいます。実際に私が色々な意見を調べてみましたが、化学調味料は危険と言っている人たちの根拠は、「化学処理をしているから危険!」というものでした。
しかしながら、化学処理をしているから、危険だと断言してしまうのは間違いです!
食塩も純粋な塩化ナトリウムを取り出すために、化学処理をしています。
このように最終的に純度の高い状態にするために、どんな調味料も化学処理されています。そういった意味では、砂糖も食塩も化学調味料なのです!
実際にグルタミン酸ナトリウムは、適切な量を守っていれば、安全性に問題が無いと言われていますが、取り過ぎれば害があることも、また確かなのです!
そのため、化学処理している調味料は、危険だと思うのであれば、食べない方が良いでしょう。一方で化学処理されている調味料でも、全く気にしないのであれば、適切な量を守っている限りは、問題が無いのです。
健康に害が出る取り方
グルタミン酸ナトリウムは偏頭痛や緑内障の原因になる物質です。
しかし、それは大量に摂取した時の話です。偏頭痛の原因になるのは、1日に3g以上のグルタミン酸ナトリウムを摂取した時です。これがどれくらい多いかというと、味の素の瓶、1振りで出る量が、0.1g程度なので、30回振ると3gです!
また、緑内障であれば、ラットの実験では食べる量の10%以上をグルタミン酸ナトリウムにした時に、緑内障の症状が出ました。もし、人間が食事の10%以上のグルタミン酸ナトリウムを取ろうと思ったら、1回の食事で70g入りの味の素を1瓶、全て使い切るくらいの量を入れることになります。
危険と言っても、これくらいのバカげた量のグルタミン酸ナトリウムを取った場合の話なので、ちゃんとグルタミン酸ナトリウムの危険性を理解した上で、判断する必要があるのです!
まとめ
今回は化学調味料が危険とされる根拠について分析してみました。
グルタミン酸ナトリウムを作る際には、今でも化学処理の工程があります。しかし、砂糖や食塩も化学処理されていて、純度を高めるために精製された調味料は全て化学調味料といえます。後はそれを自分がどう受け止めるかだけです。
また、化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは、取り過ぎると実際に害がある物質です。しかし、グルタミン酸ナトリウムに限らず、他のどんな調味料も取り過ぎれば、体に害があります。
いずれにしても化学調味料は、どちらかといえば取り過ぎない方が良い物です。
私もたまにはひと手間かけて、鰹と昆布で出汁を取ってみようと思います!
公平な視点でとても解りやすい記事をありがとうございます。うちには子供もいるので化学調味料には漠然とした不安がありましたが必要以上には怖がらなくて良いのかなと思えました。自然派のイメージを利用した商売もあり危険性が誇張されている部分もありますよね。
とは言えなるべく安心の出来るものを摂って行こうと思います。ありがとうございました。
ののさん
コメントありがとうございます。
大切なのは、ちゃんとした知識を身につけることですよね。
私は化学調味料のことを調べたら、味の素よりも砂糖や塩などの、異常なほどに真っ白な調味料の方が怖くなりました。
安心できるものを口にしたいですよね。
過ぎたるは及ばざるが如しというやつですね。
例えば、ピンポン玉サイズの塩の塊を食べれば致死。
醤油もコップ一杯グイっと飲めば致死。
冗談や勢いですぐに実行できてしまいますが、即時胃の洗浄をしなければこんな事で人間は死んでしまうのです。
極論、死に至るという意味では、実は味の素よりも塩や醤油のほうが余程少量で危険という見方もできる。
“危険”だという解釈も無理にできないこともない。
しかし、通常の扱いで言う毒性や害があるわけではない。
そういうバランスのようなものを広く知ってもらいたいと思いますね。
50年ほど前、味の素は石油(アクリロニトリル)から精製していた時期もあるといいます。
これは噂話や都市伝説ではなく、公式HPや報道、裁判からも確認できる事実です。
もっとも、天然素材(昆布からグルタミン酸、肉魚からイノシン酸、キノコからグアニル酸)を直接煮出したり口に入れようと、科学的にそれらを取り出した”白い結晶”をふりかけようと、結局同じ成分には変わりがないわけですから、最終合成成分が純粋であるならば同じこと。
自分は化学調味料自体に危険だとか悪いイメージは持っていませんが、少し心配なのは精製工程による残留物の量ですよね。
それらが製品中に全く残っていないとも言えないところが、やはり怖いところと言えばそうなのかもしれませんね。
山本さん
コメントありがとうございます。
どんな調味料や加工食品も、危険と言えば危険ですし、危険じゃないと言えばそうかもしれません。
大切なのは、ちゃんと知識を付けることだなと思ってます。
私は10代の頃、パスタを茹でる際に塩を大量に入れていましたが、口に入れた時あまりの不味さに吐き出し、その後、気持ちが悪くなったことがあります。
塩と味の素を間違えた結果でした汗
以来、トラウマから、子供の頃から使っていた化学調味料を一切使わなくなりました。
それが、最近美味しい料理について調べていたところ、いの一番というものを知り食指が動きました。
そして、購入にあたり改めて化学調味料の危険性についての真偽を調べ始めたところ、このサイトを知った次第です。
感想としては、真偽両面から情報を検討されていて、とても好感を持ちました。
一点、上で山本さまが触れられている「精製工程による残留物の量」についての情報や見解をお持ちでしたら、お聞かせください。
また、化学処理の内容についての具体的な説明が無かったように思います。
この点についても、ご存知でしたらご教示いただけたら幸いです。
よしさん
コメントありがとうございます。
> 一点、上で山本さまが触れられている「精製工程による残留物の量」についての情報や見解をお持ちでしたら、お聞かせください。
私は食品の成分を分析できるような機器は持っていないので、残念ながらそのような情報は持ち合わせていません。
ただ、私には食品の成分調査を行っている友人がいます。彼は、どのような加工食品にも少なからず添加物が入っていたり、製造過程で様々な不純物が残っているものだと言っていました。
確実に言えるのは、そのような食品であっても、適正な量を守って食べているのであれば、健康被害など起こり得ないそうです。
大切なのは、むやみやたらに心配せず、正しい知識を身に付けることだと言ってましたよ。