私は普段、魚を食べる時にはあまり寄生虫の存在を意識することはありません。特に海で取れる魚には寄生虫はほとんどいないと思い込んでいました。
しかし、実は海の魚にも怖い寄生虫は普通に存在しています。そんな寄生虫のいる魚の一つが鮭です。鮭は私の好きな魚のベスト3に入ります。ご飯のおかずに困ったらとりあえず塩鮭を買っていくくらい日常的に食べています。
私だけでなく皆さんも日常的に食べている魚ではないでしょうか?そんな鮭の寄生虫の存在を知らずに、刺身の鮭を食べるのはとても危険です!
そこで、今回は鮭の寄生虫の症状や刺身で食べても良い鮭の見分け方についてお伝えします。
目次
鮭の寄生虫
鮭にはサナダムシやアニサキスという寄生虫が存在しますが、サナダムシが存在することはわずかで、鮭の場合は、ほとんどはアニサキスです。
そんなアニサキスの感染源と症状を最初に見ていきましょう。
感染源
アニサキスが寄生しているのは、イルカやクジラなどの哺乳類の腸の中です。これらの動物に寄生しているアニサキスが卵を産むとイルカやクジラの便に交じって海の中に卵が放出されます。
次にアニサキスの卵が混じった便をオキアミなどの小さな甲殻類に食べられると、その体内で生まれて幼虫になります。そして、そのオキアミを鮭が食べると、今度は鮭の体内に寄生して更に成長します。
本来はアニサキスが寄生した鮭をイルカやクジラが食べることで、その体内で成虫になりますが、アニサキスが寄生した鮭を人間が食べても、人間に寄生してしまうのです。
鮭の体内ではアニサキスは胃腸以外にも身の部分にもいることがあります。そのためはらわたを綺麗に取り除いても、アニサキスに感染することを防ぐことはできません…。
アニサキスの恐ろしさ!
アニサキスは実に恐ろしい寄生虫です。改めて書いていて、生魚を食べる気が無くなっていく気がします…。そんなアニサキスの恐ろしさを紹介しておきます。
- 胃腸を食い破る!
- 鮭以外にも、鯖、鰯、鰹、イカ、さんま、鯵など多くの魚に寄生している
- とてもたくさんいる!
- 寄生している魚が死ぬと腸から移動する
アニサキスは本来は魚の腸の中に寄生しています。人間の胃腸はアニサキスの本来の住処ではないため、そこでは成虫になることはできません。そのため、アニサキスは人間の胃腸を食い破って移動しようとする習性があるのです。胃腸を食い破られるのは、もの凄い激痛です!
日本人が普段食べる魚の多くにアニサキスは寄生しています。アニサキスが寄生しているのは魚の腸なので、釣ってすぐに内臓を取り除いてしまえば良いのですが、それでも100%安全とは言い切れません。
とにかく、アニサキスはよくいます。アニサキスを見たことがある人であれば、魚の中に頻繁に居ることがわかります。幸いにも目で見てすぐに分かるのですが、それでも、見落とすことはよくあることです。素人が何も知らずにこれらの魚の刺身を作るのはとても危険です!
寄生している魚が死んで、内臓が傷んでくるとアニサキスは腸から出て身の部分に移動します。鮮度が悪く、内臓も取り除いていない魚はとっても危険です!
実は元々は鮭を生で食べる習慣は日本にはありません。老舗の料亭では生の鮭は出てきませんし、伝統的な寿司屋ではネタに鮭はありません。なぜなら昔から鮭には寄生虫がいることが良く知られていたため、鮭を生で食べる料理法が無いからです。
また、北海道には鮭を雪の中に埋めて凍らせてから、食べる際に小さく切り分けて、火で炙り半分溶けた状態で食べるルイベという鮭の料理があります。経験的に冷凍すれば寄生虫が死ぬことが分かっていたのです。
つまり、鮭に寄生虫がたくさんいるのは、それほど当たり前のことだったのです!
昔はサーモンの刺身や寿司なんて無かったですよね?アニサキスを殺すには、いったん冷凍する必要があるのですが、昔は冷凍技術も低かったため、冷凍してから解凍した刺身は美味しくありませんでした。
それが、冷凍技術のおかげで、鮭を生で食べることが普通になってしまいました。そして、その弊害で寄生虫への警戒心も低くなってしまいました。
症状
書いてるだけで気持ち悪くなってくるアニサキスですが、その症状は食べて数時間後で現れることがほとんどです。主な症状は激しい腹痛と吐き気です。
こうなった場合の治療方法は胃カメラを飲んで、アニサキスをつまんで取り出すことです。
ただし、ひどい場合は胃や腸を貫通してお腹の中で暴れまわることあります(>_<) こうなると胃カメラでは見つけることができない場合があるため、開腹手術で取り除く必要が出てきてしまいます! 寄生虫くらいで最悪の場合、開腹手術が必要になるなんて恐ろしいですよね!しかし、どうすれば寄生虫を退治することができるのかを知っていれば、全然恐れることはありません! 今度は生で食べられる鮭の見分け方についてお伝えします!
生で食べられる鮭の見分け方
アニサキスの体はゴムのような弾力があるため、包丁で切っても、よく噛んで食べても殺すことは困難です。ワサビや生姜でも死にません。
しかし、アニサキスが生きられる温度は限られています。そのため重要になってくるのがどのように保存されていたかです。
冷凍保存されていたことを確認する
アニサキスを完全に殺すには、60℃以上で1分以上、または-20℃以下で24時間以上冷凍することとされています。
流通の過程でも生食用で売る場合は、必ず-20℃以下で24時間以上冷凍保存し、その後に解凍したものが並んでいます。そのため、生食用とか解凍と表示のあるものを食べれば問題ありません。
また、寿司で出てくるサーモンも、必ず-20℃の冷凍保存から解凍したものを出すことが義務付けられています。
このようにスーパーで並んでいる物や飲食店で出される生の鮭は必ず流通の過程で、冷凍されているため安心して食べてください。
釣ったばかりの鮭の生食はNG!
というわけで、買ってきた鮭は安心なので、注意すべきは自分で釣った鮭を食べる場合です。当然取れたてで新鮮な鮭にはアニサキスも元気な状態で寄生しています。
自分で釣った取れたての新鮮な鮭を刺身にして食べたいと思っても、それだけは絶対にNGです!
どうしても、刺身で食べたいからといって、家庭用の冷蔵庫で冷凍しても、美味しい刺身にすることは困難です。なぜなら解凍する時に鮭の細胞が壊れてしまい、身から汁が出て食感も悪くなってしまうからです。
刺身でも美味しく食べるには、専用の冷凍設備が無いと難しいのです。残念ながら、自分で釣った鮭を刺身で食べるのはあきらめた方が良いでしょう。
まとめ
今回は怖い寄生虫であるアニサキスについてお伝えしました。書いてるだけで背筋がゾクゾクしっぱなしでした。
しかし、冷凍保存ししてあった鮭では寄生虫は生きていないので、安心して食べてください。そして、逆に言うと生食用と書いてない鮭は必ず火を通してから食べてください!
鮭を安心して食べるポイントは、生食用の表示が無いものは、必ず火を通して食べるということです!これだけ押さえて美味しく鮭を食べてくださいね!
アニサキスは、終宿主が人間ではないので、最長でも3ヶ月程で死滅すると思います。それに対して、サナダムシは終宿主が人間なので、ふつうは痛みを伴わずひっそりと腸内に寄生し、長期間生き続けます。なので、人間に寄生する、という意味では、サナダムシの方が危険視すべきだとおもいます。出しゃばってしまってすみません。
t-rexさん
コメントありがとうございます。
出しゃばりなんてとんでもないです!
それどころか貴重なご意見、とてもありがたいです。
確かに違う見方をすれば、サナダムシはとても危険で、気持ち悪いですね…。
ちょっと調べてみます。
サーモンが着色されていることを知っておられますか?アスタキサンチン(食品添加物)を餌にまぜ、名前を混餌飼料として記載義務をはずしてあります。すなわち、養殖サーモンは、腐ってもわからない!当時の厚生省の議事録がネットにのこっています。8年前から、私はアニキサス中毒が増えることを喚起しています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/txt/s0310-1.txt
府川公広
コメントありがとうございます。
> サーモンが着色されていることを知っておられますか?
はい、知ってます。アスタキサンチン入りのエサを食べてないと赤くなるわけないですからね。
回転寿司とかでも、結構アニサキス中毒になると聞きます。アニサキス中毒を防ぐには火を通すか、確実に冷凍されてると分かる物しか食べない事なので、信用できない場所では生食しない方が良さそうですね。