今までの時代のチーム登山はもう通用しない

「登山」というと、どんなイメージがあるでしょうか?

私が最初にイメージするのは、しんどさや筋肉痛など、ネガティブなものばかりです。あなたもそうかもしれませんね。

でも、そんな私でも友人に誘われれば、喜んで一緒に山登りします。人生に行き詰まりを感じた時などは、一人で計画して、黙々と山を登ります。

心臓の持病がある私は、あまり高い山に登れないのが残念ですが、健康な方であれば、富士山に登頂したことがあるかもしれませんね。

冒険家や登山家が目指すような有名な山は、時に命の危険が伴うほど、険しいものです。そんな山の頂上を極めた時の達成感は、私たちの想像を絶するものなのでしょう。

だから、人は山のテッペンを目指して努力するのだと思います。

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目次

渋滞するエベレスト

ところが、現代では有名な山の頂上を極めることは、違った意味で難しくなっています。

この写真は世界最高峰のエベレストの頂上付近の写真です。頂上を目指す登山家たちで大渋滞しています。

エベレストの頂上に登るためには、天候条件が良い日を選ぶ必要があります。

しかし、条件が整う日は、そう多くないため、ようやくやって来た好条件の日には、登山家たちが集中してこのような大渋滞ができることがあるそうです。

私はエベレストに登頂できるのは、選ばれたほんの一握りの人だけで、頂上付近は常に無人の荒涼とした場所だと思っていました。

ところが、それは昔のことで、今や世界中の登山家たちが、登頂を目指して集まっているそうです。

このような大渋滞が起きるようになったことで、登頂の順番待ちの間に亡くなってしまう登山家が出てしまい、問題になっているというのです。

私はこの写真が、今の世の中を象徴しているように思いました。

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人生は頂点を目指しつづけるもの

競争に勝って目標を達成することを、よく「頂点を極める」と表現します。そう表現するのは、そこに様々な困難や、それを乗り越えた時の達成感があるからだと思います。

このように人生の様々なことは、山登りと同じような困難と達成感があるものばかりです。

考えてみると、人生には様々な「山」があります。受験や就職、会社の業務目標など、努力して目標達成を目指すことは、子供でさえも避けて通れません。

そして、社会人になると、登らなければいけない山は、どんどん高くなっていきます。

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サラリーマンは登山チームの一員になる事

例えば、企業に就職してサラリーマンになると、ほとんどの場合チームで仕事をすると思います。なぜなら一人一人が自分の専門分野を活かして、一つの商品サービスを作らなければ、厳しい競争に勝てないからです。

これはエベレストのような険しい山の登頂を目指す場合に、必ず登山チームを結成するのと同じ理由だと思います。

日本人は昔から、和を尊び、献身的に組織のために働くことができる民族性を持っています。この強みを活かして、戦後の高度経済成長期に世界との競争に勝ち、自動車や家電など、経済の様々な分野で頂点を極めました。

チームで取り組むことで、それぞれの専門分野を活かして、より高い目標を達成することができます。みんなで責任を分担すれば、リスクを分散することができますし、頂点を極めることで得た利益は、文字通りみんなで山分けすることができます。

システムエンジニア時代の私も、サーバー、ネットワーク、データベースなど、様々な専門スキルを持つエンジニアがチームになって、システム開発を行いました。

これはIT業界に限ったことではないはずです。競争力の高い商品やサービスを作るためには、必要不可欠なことだと思います。

チームワークで目標を達成することは、日本人のお家芸です。こうして20世紀の日本は、みんなで頂上を極め、みんなでその恩恵を受けてきました。

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有名な山は危険が多く得られるものが少なくなっている

ところが、21世紀になり、日本人が得意な「チーム登山」が通用しなくなってきました。

経済のグローバル化が進み、世界全体の競争が激しくなり、日本が独占していた経済分野にも強力なライバルが増えてきました。

日本が頂上を独占していた「山」も、世界のライバルたちに次々と取って代わられる時代になりました。

経済競争が厳しくなった結果、21世紀になってからの日本の経済成長は停滞しています。そして、労働者の実質的な賃金もこの20年間増えるどころか、減ってしまっています。

賃金が下がっているのは主要な先進国の中では、日本だけです。

さらに働き盛りの世代を中心に、精神疾患を患う人たちが増え、社会問題となっています。

今や経済分野での有名で大きな「山」には、世界中の多くの企業が「登山チーム」を結成して、頂上を目指して熾烈な競争を繰り広げています。

その結果、昔に比べて、頂点を目指しても、危険が多く、得られるものも少なくなってしまいました。21世紀になり、経済分野の様々な分野では、世界中の企業やビジネスマンが熾烈な競争を繰り広げています。それは名だたる世界中の登山家が、エベレスト登頂を目指して、大渋滞を起こしている様に似ています。

それにも関わらず、日本の政策は相変わらず経済成長を目指しています。

何も考えずに生きていると、大渋滞するエベレストのような山に登らされてしまうのです。

たくさんある山を見極めなければならない

現代を生きる私たちは、自分が登る山をよく見極めなければいけません。さもなくば、危険でメリットが無い山を、登らされてしまいます。

しかし、豊かで喜びがある人生を生きるためには、努力して頂点を極める必要があるのは、いつの時代も同じです。

目標や向上心を持たず、リスクを避けてばかりの人生はつまらないですし、何よりもそんなんで生活できるほど、社会は甘くないですよね?

今の時代を生きるために重要なのは、自分にとって、登りやすくて得るものが多い山を見つけることです。

次の記事では、そのことを書いていきたいと思います。