ニュースでほぼ毎日のように流れるニュースに経済関係のニュースがあります。何だか難しい用語ばかりで、分かってるようで分かっていないものばかりです。
そんな経済用語の中には、インフレとデフレというものがあります。日本経済を立て直すためには、デフレから脱却する必要があるとよく聞きます。一方で、インフレが進み過ぎて、経済が破たんしてしまう国なんかもあります。
一体、インフレとデフレはどっちの方が良いんでしょうか?
実は知ってるようで曖昧にしか知らないのがインフレとデフレだと思います。
そこで、今回はインフレとデフレの違いや、それぞれのメリットとデメリットについてお伝えします。
目次
インフレとデフレ
インフレとデフレの正式名称はインフレーションとデフレーションといいます。
インフレとデフレは単純には物価が上がることと下がることを指していますが、問題はそれが社会経済にどのような影響を与えるかです。
それぞれについて、具体的に説明していきます!
インフレーション
インフレはシンプルに言えば、物価が高くなることです。
しかし、天候不順のために野菜などの食品の値段が上がるのは、インフレとは言いません。ポイントは社会全体の物価の値段が上昇していることです。
このように社会全体で色々な値段が上がってきた結果、物価が上昇することをインフレと言うのです。
実際には総務省が毎月発表する消費者物価指数という、様々な品物の小売価格をもとにした指標値によってインフレかデフレかを判断しています。
インフレが起きる仕組みは、通常以下の通りです。
- 私たち消費者が様々な商品やサービスを購入する(需要が増える)
- 起業は商品やサービスが売れやすいので、値上げをする(インフレ)
- 値上げにより企業は儲かるので、設備投資や給料が増える
- 給料が上がるので、更に消費者が商品やサービスを購入する(以下、2~3の繰り返し)
物価が上がると聞くと嬉しくないですが、実は景気が良い時は、物価は徐々に上がっていきます。
1965年当時の消費者物価指数と、2015年現在の消費者物価指数を比べてみると、なんと4.1倍にもなります。50年前から物価は約4倍にもなってるわけです。
しかし、この50年の間の日本経済は、戦後の高度経済成長期からバブル景気とずっと経済成長をしてきたため、ある意味、当然の物価上昇と言えるわけです。
このように適正な率のインフレは基本的に良いことなのですが、当然、不適正なインフレは良くありません。それがハイパーインフレです!
ハイパーインフレとは?
ハイパーインフレは異常な物価の上昇のことです。例えば1988年にアルゼンチンでは1年間で物価が5,000倍にもなるハイパーインフレが発生しました。
あまりにも物価が上がってしまうため、トイレットペーパーを買うよりも、お札でそのままお尻を拭いた方が安く済むという事態が発生して、トイレットペーパー代わりにお札が積んであるなんて光景も見られました。
ハイパーインフレが起きる理由には様々なものがあります。
- あまりの不景気になってしまったため
- 政府の財政が極端に悪くなったため
- 戦争などで物資や生産力が極端に減ってしまったため
- 災害などによって大打撃を受けたため
インフレは物価が上昇することですが、見方を変えると、お金の価値が減ることでもあります。
例えば、1965年当時の1万円札を持っていたとします。実はそのお札は今でも1万円札として使うことができます。
でも、もしその1万円札で1965年にお買い物をすれば、2,500円の商品を4つ買えたのに、今では同じ商品を1つしか買うことができません。これは1万円札の価値が1/4に下がったともいえるわけです。
もし、ハイパーインフレが起きると、お金の価値は猛烈な速さで減っていきます。ハイパーインフレはお札をあっという間に、紙くずに変えてしまう恐ろしい状態なのです。
デフレーション
一方のデフレはシンプルに言えば、物価が下がることです。
しかし、バーゲンセールなどによる値下がりや、豊作による野菜の値下がりなどは、通常デフレとは言いません。
デフレとは、物価の下がることと、社会経済が弱くなることが一緒に起きている状態です。
どういう状態がデフレなのでしょうか?「今の日本経済はデフレスパイラルに陥っていて問題だ!」などと、言われますが、まさに今の日本経済はデフレの状態です。
デフレが起きる仕組みは、次のようなものです。
- 私たち消費者が商品やサービスを購入しなくなる(需要が減る)
- 起業は商品やサービスが売れにくいので、値下げをする(デフレ)
- 値下げにより企業の売り上げは減るので、設備投資や給料が減る
- 給料が下がるので、更に消費者が商品やサービスを購入しなくなる(以下、2~3の繰り返し)
物価が安くなるのは嬉しい気がするのですが、長い目で見ると社会経済を悪化させてしまいます。また、給料も増えないばかりか、減っていく可能性もあるため、自分のためにもなりません!
昭和の高度経済成長期は真面目に働いていれば、給料は右肩上がりでした。しかし、今は入社してから一度も給料が上がったことが無いなんて話をよく聞きます。そして、贅沢はできないため、質素な生活で満足しようとする人も増えています。
このように消費者が物を買わなくなり、企業の業績が下がり、そのために給料が減るという悪循環を「デフレスパイラル」といいます。この悪循環を止めるには、私たちが贅沢をして、消費を増やす、起業が頑張って設備投資や給料を増やすなどが必要です。
さて、ここまではインフレとデフレの違いを見てきました。社会全体のことを考えると望ましいのは、インフレということになります。でも、そう単純な話でもありません。
今度はもっと掘り下げて、インフレとデフレのメリットとデメリットを見ていきましょう。
それぞれのメリットとデメリット
インフレとデフレのメリットとデメリットを理解すると、今どんな生活をするのが、賢いのかが見えてきます。
そこで、インフレとデフレが自分の生活にどのようなメリットとデメリットをもたらすかについて、順番に見ていきましょう!
インフレの場合
インフレが生活に与えるメリットとデメリットはこうです。
- 給料が増える!
- 資産を増やしやすい!
- 好きな仕事に就きやすい
【デメリット】
- 物価が高くなる
- 貯金していると基本的に損
メリットに”給料が増える”とありますが、デメリットに”物価が高くなる”とあるので、実際にはメリットとデメリットで相殺されてしまいます。
私が考えるインフレの真のメリットは社会全体が活発で順調な状態なので、自分がやりたい仕事や夢の実現がやりやすいという事です。
また、ただ貯金しているだけだと、お金の価値が減っていってしまうので、溜めるのではなく、運用して増やすのが賢いでしょう。
デフレの場合
一方でデフレが生活に与えるメリットとデメリットはこうです。
- 物価が安くなる
【デメリット】
- 給料が減る
- 好きな仕事に就きづらい
デフレは社会経済がどんどんしぼんでいくため、基本的にはあまりメリットが無い状態です。一時的には物価が下がるメリットがありますが、そのうちに自分の収入が減少していくため、やはりメリットとデメリットで相殺されてしまいます。
しかし、デフレも悪いことばかりではありません。収入が減ることで、お金に頼らなくても、豊かに生活する手段が発達していきます。豊かでなくても、互いに助け合う社会になっていきます。
私が考えるデフレのメリットは、経済的には貧しくなったとしても、社会の成熟が進んでいくことだと思います。
まとめ
今回はインフレとデフレの違いと、それぞれが自分の生活にどのようなメリットとデメリットをもたらすかについてお伝えしました。
社会全体の経済を考えると緩やかなインフレが望ましいわけです。そのため、今の日本社会はデフレスパイラルに陥っているため、その悪循環を断ち切ることが重要だと言われています。
しかし、今の日本社会は成熟してきています。もしかすると、デフレになるのは自然な事なのかもしれません。
皆さんも仕事をバリバリ頑張るインフレ型のラフスタイルではなく、収入はある程度少なくても、自分に合ったライフスタイルを探してみてはいかがでしょうか?