日頃よく目にするニュースの中で、よく目にするのは、政治家の汚職ですね…。個人的には法的なペナルティーを既に受けていたり、謝罪して適切に対処しているのであれば、過度なバッシングはかえって政治の足を引っ張るだけだと思ってます。
とはいえ、中には本当に腹に据えかねる悪徳政治家もいます。権力を利用して不正を行う政治家は許せないですよね?
それなのに国会議員には憲法で保障された不逮捕特権というものが存在します。国会議員なら何しても許されるというのでしょうか?不逮捕特権はなぜあるんでしょうか?疑問に感じたら調べずにいられない私は調べてみました。
というわけで、今回は国会議員の不逮捕特権についてお伝えします。
目次
国会議員に不逮捕特権がある理由
国会議員にはなぜ不逮捕特権があるのでしょうか?それはたった一つこの理由だけです!
他の権力の干渉から国会議員を守るため
他の権力からの干渉から守るためとはどういうことなのでしょうか?それは民主主義の歴史を見てみると納得がいきます。
他の権力からの干渉から守るため
長い歴史の中で、専制君主制の国では、その国の元首が、自分に都合の悪い人物を不当に逮捕して、国を自分の意のままに運営していく独裁政治が何度も行われてきました。
特に議会の議員などは、しばしばそういった迫害の対象になってきました。そして、今でも世界の一部の国では、それが繰り返されています。
国会議員の不逮捕特権は、こうした他の権力からの不当な干渉から、議員を守って議会の機能を正常に保つためのものなのです。
民主主義の基本は権力分立!
でも、今の日本には専制君主はいません。自分の権力を欲しいままにする人などいないのに、なぜわざわざ憲法に国会議員の不逮捕特権が、明記されているのでしょうか?
それは、民主主義の基本は権力分立にあるからです。権力分立とはなんでしょうか?ここで、社会の授業のおさらいです!
日本型の民主主義の場合は、3つの権力に分けられています。
- 行政
- 立法
- 司法
行政権が内閣、立法権が国会、司法権が裁判所の事ですね!
そして、この中で警察権力を行使するのは行政です。また、法律を執行するのが司法です。
もし、行政が警察権力を濫用すれば、国会議員を不当に逮捕することができます。また、司法が法律を曲げて運用すれば、国会議員を冤罪で罰することもできてしまいます。
一方で国会は法律を作るだけで、それを行使する力が無いため、行政や司法が暴走した時に、そのままだとそれに対抗する力が弱いのです。そのため、例外的に不逮捕特権が存在するのです。
では、国会議員は何しても逮捕されないんでしょうか?当然そんなことは無いですし、実際に逮捕された国会議員は過去に多数います。
というわけで、今度は不逮捕特権とは具体的にどういう時に適用されるのかを見ていきましょう。
不逮捕特権の具体例
国会議員が逮捕されないのは、国会の会期中だけです。日本国憲法の50条にはこうあります。
「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」
国会は国会議員が国民の代表としての権利を行使する場のため、会期中にのみ不逮捕特権が効力を発揮します。そのため、会期中は逮捕状が出ても、国会が逮捕許諾請求を可決しない限り、逮捕されません。
また、会期前に逮捕された議員は国会の釈放請求を可決した場合は、その議員は釈放されるのです。
国会中でも逮捕される場合
とはいえいくら国会会期中でも何でもして良いわけではありません。憲法には法律の定める場合を除いてはと書いてあります。つまり、法律が例外を定めていればそれに従うという意味です。
具体的な例外は現行犯逮捕です。現行犯の場合は明らかにその議員は罪を犯しているため、国会の承諾なしでも逮捕されます。
不逮捕特権は飽くまでも、不当な逮捕から国会議員を保護するためのものだからです。
まとめ
今回は国会議員の不逮捕特権についてお伝えしました。
こうして、調べて分かったことは、国会議員の不逮捕特権というのは、見方を変えれば、国民の権利を正当に保護しているといえます。
最近の日本は汚職をした、あるいはその疑いのある政治家を袋叩きにする傾向があります。しかし、それは国民の代表として、自分たちの代わりに権力を行使してくれる人を、自分たちで追い詰めているだけで、ひょっとすると自分で自分の足を引っ張ってるだけかもしれません。
もちろん、完全に悪い政治家なんてさっさと捕まってしまえば良いと思います。でも、国民としての自分の権利をどのように効果的に行使するのかという視点で、国会議員を見てみると少し政治に対する考え方も変わるかもしれませんね。