昔から言われている健康にまつわる定説というのは、色々ありますよね。本当のこともあれば、中には迷信もあったりします。
そんな定説の中には暗い場所で本を読んだり、勉強したりすると目が悪くなるというものがあります。
私も目を使う作業をする時は、部屋の中を白色の蛍光灯で明るくするようにしています。でも、良く考えてみると根拠が分からないまま、クセのような感じで、やってしまってる気がします。
そこで、改めて暗い場所で目を使うと視力が悪くなる理由を調べてみたところ、意外な事実が分かりました!
目次
暗い場所では本当に目が悪くなるのか?
暗い場所で読書したり、勉強したりすると本当に目が悪くなるのでしょうか?結論から言うと、単に暗いだけなら目が悪くなる原因にはなりません!ただ暗い場所にいて物を見ていても問題は無いのです。
視力が低下する理由は明るい場所でも、暗い場所でも一緒です。明るさに関係無く、目が悪くなるような条件で読書をしたり、仕事をすると視力が低下するのです。
しかし、本当に暗い場所で目を使っても視力は低下しないのでしょうか?それを見ていくためには、まず最初に視力が低下しやすい条件や、近視とはどういうものかについて知っておく必要があるので、簡単に説明していきます。
近視の種類
近視には次の2種類があります。
- 軸性近視
- 屈折性近視
目の奥行が広がってしまうことで、目の奥にある網膜に遠くの物が正常に映らなくなってしまう近視です。遺伝的な理由で進む近視のため、予防や治療は困難です。
近くの物を見る時は、ピントを合わせる働きをする水晶体が緊張して膨らみます。しかし、ずっと近くの物ばかり見ていると水晶体の緊張状態が解けなくなり、膨らんだままになってしまうため、遠くの物にピントが合わなくなってしまいます。水晶体の緊張状態を解消すれば治る近視です。
軸性近視は遺伝が原因である以上、自分の生活習慣とは関係ありません。問題は屈折性近視です。ここに書いた通り、屈折性近視はずっと近くの物を見続ける事が原因で起きる近視です。
視力の低下は明るさとは関係無く、物を近くで見てしまう生活習慣や、近づかないと物が良く見えない環境などが問題なのです。
「な~んだ暗くても目が悪くならないのか、じゃあ、真っ暗にして読書したり、仕事しても大丈夫だね!」と思ってしまうかもしれませんが、実はそうではありません。やっぱり暗い場所で目を使うことには、問題があるのです。次からは暗すぎる場所で目を使うことが生む害について見ていきましょう。
暗すぎる場所で目を使うことの害
最初に視力の低下は近くで物を見続ける事が原因で、明るさとは関係ないと書きました。しかし、あまりにも暗すぎる場所での読書や仕事は視力や健康を損なう恐れがあります。
一体なぜなのでしょうか?
暗すぎると視力が落ちる
当たり前ですが、人間の目は光が無ければ物を見ることができません。目には瞳孔という、目の中に入ってくる光を調節するシャッターがあり、人間はこの瞳孔の開け閉めで目の中に適量の光を入れて物を見ているのです。
暗い場所では物を鮮明に見るために多くの光を取り込もうとして、瞳孔が緊張して最大限に開いています。この緊張状態は目には負担です。また、暗い場所では、物が見えにくいため、ピントが合いにくくなります。そうなると水晶体は緊張と緩和を繰り返すため、それも目にとっての負担になります。更には物が良く見えなければ、自然に近寄って物を見るようになり、更に水晶体は緊張します。
真っ暗な場所でも、普通にしていれば目の負担にはなりませんが、字を読んだり細かい作業をすると途端に目の負担が増します。
水晶体と瞳孔の連続した緊張状態が屈折性近視の原因となってしまうため、暗すぎる場所での細かい作業はやはり視力の低下を招きます。
暗い場所で作業をすることの害
真っ暗な場所での作業は視力の低下以外の害ももたらします。
上で説明している通り、暗い場所での作業は目に疲労が蓄積していきます。目に疲れがたまると疲れのたまり具合よって、次のような症状が順番に出てきます。
- 疲れ目
- 肩こり
- 頭痛
目の負担が増えれば、まずは疲れ目の症状が出てきます。疲れ目は勉強や仕事の効率を下げるだけでなく、慢性的になると屈折性近視の原因にもなります。
目を使っている状態は、目や顔の筋肉が緊張している状態のため、ずっと目を酷使していると筋肉に疲労がたまり、肩こりの原因になります。
肩こりがひどくなると、やがて方から首、そして頭部の筋肉に凝りが広がっていきます。首から頭部にかけての凝りがひどくなると緊張性頭痛という頭痛を引き起こすのです。
あまりに暗い場所で作業をするのは、このような体の不調の原因になります。人間は暗い場所で行動するのに適していないのです…。
ここまで読むと「やっぱり明るい方が良いのか~。それなら家じゅう明るい照明にしちゃおう」と思うかもしれませんが、なんと実は明る過ぎるのにも別の害があります!今度は明るくし過ぎることの害について見ていきます。
明るすぎることの害
当たり前ですが、昔から地球には昼間と夜があります。人間は朝が来ると起きて、昼間に活動し、夜になると休息して、やがて眠りにつきます。
人間はこのサイクルに適応した作りになっているため、朝から昼にかけては、白い色の強い光を浴びることが大切です。そして、段々と日が傾くにつれて、光の色は白から暖色系にすることが望ましいのです。そして、光の強さも段々と弱くするのが良いのです。
これは太陽の光が昼間は白くて強く、夕方になるにつれて、オレンジ色で弱い光になるためです。
しかし、夜も白色蛍光灯のような強い光の下にいると、人間の体のサイクルに乱れが生じて、いつまでたっても体が睡眠の準備に入れなくなり、睡眠不足や睡眠障害の原因になってしまうのです。実は夜は暖色系の弱い照明が人間の体には良いのです。
目を悪くしたくないからといって、夜に明るい照明の下で読書や仕事をするのは、目には良いのですが、健全な睡眠を妨げてしまうため良くないのです。
じゃあ、結局のところ、目を悪くしないためにはどうすれば良いのでしょうか?次の章で説明していきます!
視力も低下せず、体にも良い作業の仕方
目を悪くしないための読書や仕事の仕方は、昼と夜で変わってきます。それぞれの最適な方法を説明していきます。
昼間
昼間はシンプルに明るい場所で作業をすればOKです!ただし、明るくても近くで物を見ては屈折性近視の原因になります。本や仕事の対象物との距離は40cm~50cmに保ち、目の疲れを感じてきたら適度に休憩しましょう。
休憩を取るまでの目安の時間は、1時間程度です。
夜間
夜になったら明るすぎず暗すぎないようにすることが大事です。読書や仕事が苦にならない程度で、落ち着きを感じる程度の明るさが目安です。
逆にスッキリと目が覚めるような感覚になるほどの明るさは強すぎます。このあたりは人それぞれの感覚によるので、自分の好みの明るさを見つけてみてください。そして、光の色は暖色系の照明が適しています。
後は昼間と同様に本や仕事の対象物との距離は40cm~50cmに保ち、目の疲れを感じてきたら1時間を目安に休憩しましょう。
まとめ
常識的には照明は明るい方が目に良いと考えがちですが、実は暗い場所で目を使っても視力が悪くなることはありません。たとえ月明かり程度の明るさであっても、近くで物を見なければ視力が低下することはありません。
しかし、暗い場所で、字を読んだり、細かい作業をしなければならないとなると、どうしても近寄らなければならなくなります。そうなるとやはり視力が低下する危険があります。
また、明るいのは目には良いのですが、夜になっても煌々と明かりがついているのは、体には良くありません。
そのため目と体の両方の事を考えた理想的な明るさのポイントは以下の通りです!
【目を悪くしないためのポイント】
- 明るさに関係なく近くで物を見ることが視力低下の原因なので、物との距離を適度に保つ。
- 基本的に真っ暗でも目は悪くならない、ただし、細かい作業をする場合は適度に明るくする。
- 明るさの目安は読書や仕事をしても苦にならず、目を近づけなくても大丈夫なくらい。
- 昼は明るく、夜は暗すぎない適度な明るさにする。
現代は目を酷使しやすい世の中です。できるだけ目を労わりながら、いつまでもくっきりと物が見える目でいられるように願っています!
“暗い場所で目が悪くなるのは迷信!?真相を徹底究明!” への1件のフィードバック