夜の車の運転は安全に気を遣いますよね。
当たり前ですが、昼間より暗いので、ヘッドライトを点灯して運転するのは必須です。
でも、このヘッドライトの使い方って、難しいと思うのは、私だけでしょうか?
ヘッドライトには、光の角度によってロービームとハイビームの違いがあります。これを上手に使い分けないと周りにも迷惑になります。
実際に自分が運転している時にも、対向車や後続車のハイビームを迷惑に感じることがよくあります。恐らく皆さんもハイビームを迷惑に、感じたことがあるのではないでしょうか?
そこで、ヘッドライトの正しい使い方を改めて調べてみたところ、ちょっと驚いてしまいました。なぜなら、私が自動車教習所で習ったのとは違うからです。
いったいどんな使い方が正しいんでしょうか?
というわけで、車のハイビームの正しい使い方を細かく調べてみたので、皆さんにもお伝えします。
目次
道路交通法におけるヘッドライトの使い方
ハイビームの使い方を調べてみると、出てくるのは”ヘッドライトは常にハイビームが基本!“とか”ハイビームを使わないと道路交通法違反になる可能性がある“なんて情報がたくさん出てくることです。
でも、少なくとも私が自動車教習所で習ったのは、そうじゃなかったんですよね…。教習所では市街地などの人気の多い場所はロービーム、暗い道や人気の少ない場所ではハイビームと習います。
じゃあ、道路交通法にはどうかいてあるのでしょうか?
- 車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする。
- 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
ハイビームとかロービームなんて言葉は使われていませんが、”灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない”はロービームにすることも含まれます。そして、ロービームを使うのは、対向車とすれ違う時や前方に先行車がいる時だけと書いてあります。
そうなると、確かに文脈の上では、ヘッドライトはハイビームにすることが基本なわけです。
夜間走行する車には、安全のために100m以上先まで光が届く照明を付けるのが義務付けられています。
だから、夜間は常に100m先まで視認できる状態になっている必要があるのです。
また、実際に、ヘッドライトをハイビームにすることは、事故防止の効果もあるようです。
2017年の9月に警察庁が発表した「平成29年上半期における交通死亡事故の特徴等について」という発表に興味深い報告があります。これによると、夜間に発生した車と歩行者の死亡事故のうち、56%はヘッドライトをハイビームにしていれば、回避できた可能性が高かったそうです。
やはり、安全のためには、ハイビームを使うことは大切なのです。
こういったことから、最近では警察庁や一部の県の警察では、常時ハイビームを推奨しているのです。
でも、だからと言って、「ハイビームを使わないのは違反だ!」とか「市街地や人の多い所でもハイビームが正しい!」なんて言い切るのは、果たして正しいんでしょうか?
そうだとしたら、なんでロービームなんて機能が存在しているのでしょうか?
なんでロービームが存在するのか?
ヘッドライトというのは、あくまでも自分が周りの物を見えやすくするためのものです。
周囲の人にとっては、ヘッドライトで照らされると逆に物が見えづらくなります。
ヘッドライトによって、物が見えにくくなる代表的な現象は次の2つです。
- 幻惑
- 蒸発
ロービームはこのような現象を起きにくくするために、備わっている機能なのです。
それぞれがどういう現象か簡単に説明しますね。
幻惑
幻惑とは、平たく言えば目が眩んでしまうことです。
眩しい光をみると、しばらくの間、モヤがかかったようになって物が見えにくくなりますよね?
ヘッドライトのような強い光に照らされると、この現象が起きてしまいます。
また、目は光に照らされると、明るい場所でも物が見えるように、瞳孔が閉じてしまいます。こうなると、逆に暗い場所の物が非常に見えづらくなってしまうのです。
幻惑状態で運転するのは、目隠しして運転しているようなものです。
つまり、むやみにハイビームで他人を照らすのは、無理やり目隠しさせているようなものなのです。
蒸発
蒸発とは、センターライン付近の歩行者が見えづらくなってしまうことです。
自分と対向車の両方のヘッドライトに照らされると、その中間に存在する物体が光に溶け込んで、全く見えなくなってしまうのです。
横断中の歩行者などを見逃す危険のある怖い現象です。
ロービームはこのような危険を避けるために、存在する機能です。
そのような危険性を考えずに、普段からハイビームを使うのを推奨するのは、やはり間違っているのではないでしょうか?
大切なのは、ハイビームとロービームをきちんと使い分ける事だと思います。
そこで、次はヘッドライトの状況に応じた使い方を見ていきましょう。
状況に応じた使い方
まず、大前提として、遠くまで明るく照らす方が安全なのは間違いありません。
道路交通法でも基本はハイビームを前提としています。
そこで、ロービームにすべき、シチュエーションを考えて、それ以外はハイビームと考えると分かりやすいと思います。
というわけで、ロービームの方が好ましいシチュエーションを考えると次の4つが考えられるのではないでしょうか?
- 対向車とすれ違う時
- 前方に先行車がいる時
- 見通しの良い交差点での右左折待ちの時
- 明るくて見通しの良い場所
1と2は道路交通法でも明記されているシチュエーションなので、問題は無いと思います。
そこで、ポイントになるのは、3と4だと思います。
なんで、この時はロービームの方が良いと言えるのか、それぞれ説明します。
見通しの良い交差点での右左折待ちの時
交差点を直進する時に、右左折待ちしている対向車のハイビームで怖い経験をした人は多いのではないかと思います。
これをされると、光のせいで交差点の先が見通せなくなり危険です。
実は右左折待ちの時も、広い意味では対向車とすれ違う時です。
特に交差点は歩行者も横断している可能性があるリスクの高い場所です。
対向車が接近していることが明らかに分かる見通しの良い交差点で、右左折待ちをしている時などは、ロービームにするようにしましょう。
ポイントは見通しが良い交差点であることです。
見通しが悪い交差点では、安全のためにパッシングをしながら通行することが求められています。
あくまでも遠くまで見通しが良い交差点に限ります。
明るくて見通しの良い場所
100m以上先がハッキリと確認できるような明るい場所も、ロービームが好ましいでしょう。
ハイビームは周囲の人にとっては、逆に視認性を弱める危険があるものです。明らかにハイビームが不要な繁華街や、明るい街灯が並んでいるような場所は余計な危険を避けるために、むしろロービームの方が安全な場合があります。
現代の日本は、市街化が進んでいるため、実はロービームでも問題が無い道路が多いのです。
常にハイビームが基本でありながら、実際には例外であるロービームの方が好ましい道路が、かなり多いというのが実態なのです。
まとめ
というわけで、今回はハイビームの正しい使い方を考えてみました。
安全のためには、ヘッドライトはハイビームにして使うことが基本です。
ただし、むやみやたらにハイビームを使うのは、周囲の人に目くらましをしているのと同じ、危険な行為です。
だからこそ、正しく使い分けることが重要です。
周囲に迷惑をかけない使い方をもう一度おさらいしておきますね。
- 対向車とすれ違う時
- 前方に先行車がいる時
- 見通しの良い交差点での右左折待ちの時
- 明るくて見通しの良い場所
対向車に幻惑や蒸発を起こさせないように配慮する。
バックミラーに反射するライトも幻惑を起こさせるので、配慮が必要。
対向車が安全に交差点を通過できるように配慮する。
明るくて、ハイビームが不要な場所では、余計な危険を避けるために、ロービームにする
ヘッドライトの使い方と言うのは、「原則はハイビームが正しい!」とか「ハイビームはマナー違反だ!」なんて両極端な論理で語れるものじゃないんですね。
夜間の運転では、ハイビームとロービームのどちらを使えば良いのか、その状況は目まぐるしく変わります。
やはり、面倒くさがらずに、こまめに切り替えるのが、一番良いわけです。
とは言え、自分がいくらヘッドライトの使い方を気を付けても、他の人がこちらに配慮してくれるかどうかは分かりません。
一番良いのは、スピードを出し過ぎず、常に余裕のある運転を心がけることですね^^
ヘッドライトの使い方に限らず、夜間の運転には十分に注意しましょうね!