突然ですが、皆さんはナマケモノという動物をごぞんじですよね?あの動きがノロくて、寝てるんだか起きてるんだか分からない動物です。ナマケモノは英語名もsloth(怠け者)なので、世界中から怠けて何もしない動物というイメージを持たれているわけです。
でも、私はある日ふと思いました。あんなに動きがノロい動物が、なぜ厳しい自然界で生き残ることができるんでしょうか?
自然界には肉食獣がいます。当然ナマケモノだって襲われるはずです。それなのに絶滅せずに生き残っているのには理由があるはずです!
疑問に思った私はナマケモノについて徹底的に調べてみたところ、意外な理由が分かりました。ナマケモノのライフスタイルには、現代の日本人が学ぶべき教訓がたくさんあったのです!ていうか、ナマケモノを見習わなくては、私たちは大変な生活になってしまうかもしれませんよ!?
というわけで、今回はナマケモノが厳しい自然界で生き残ることができる、その意外な生態についてお伝えします。
目次
ナマケモノの生態の特徴
私たちがナマケモノをイメージする時には、動きのノロさのイメージしかありませんよね?
そこで、まずはナマケモノの生態を次の4つの角度から見ていきましょう。
- 身長と体重
- 運動能力
- 普段の生活
- 食生活
ナマケモノの生態を知れば知るほど、なぜ絶滅しないのか不思議になってきますよ…。
それでは、順番に見ていきましょう!
身長と体重
ナマケモノには大きく分けて2種類がいます。それがミユビナマケモノとフタユビナマケモノです。
名前の通り、指の数が違うだけで、生態はほとんど一緒です。
どちらも身長が40cm~75cm程度で、体重が4Kg~9Kgです。人間の赤ちゃんくらいの身長体重です。
日本でも色々な動物園で飼育されているので、一度見に行ってみてはいかがでしょうか?(全然動かないので、つまらないですが…)
運動能力
ナマケモノは一生のほとんどを木にぶら下がって生活します。
その際に役に立つのが、長い鉤爪です。これを枝に引っ掛けてぶら下がるのです。引っ掛けてぶら下がってるだけなので、全然エネルギーを使わないで済むのです。
また、ぶら下がってる時は頭を前足の間にしまっているので、遠くから見ると木の一部に見えるため、天敵に気付かれにくいという特徴があります。
そして、ナマケモノの移動速度はなんと時速16mです。16Kmじゃなくて16mです…。あまりに遅すぎてピンとこないですよね。これは分速に直すと0.27m程度です。1分間で27cmしか移動しないってことですよ!
もし、私たちが1分間で27cmしか動いちゃダメって言われたら発狂しますよね!?
ナマケモノはこれほどまでに遅いため、天敵から逃げるという発想はありません。徹底的に見つからないようにしているだけです。
一応、天敵に見つかった時には時速180m(分速3m)に速度アップします。でも、所詮その程度の速さなので、確実に捕まって餌食になってしまいます。
普段の生活
ナマケモノは食事も睡眠も出産も全て木の上で行います。
唯一、地上に降りる時がウンチをする時です。ナマケモノは7日間~10日間に一回だけウンチをするために地上に降ります。降りると言っても、木の根元の部分だけで遠出はしません。
木のすぐそばでウンチをすると、そのウンチを土に埋めてまたすぐに木に登ります。すぐって言っても、当然、気が遠くなるほどノロい動きですがね。
こんなにノロいくせにウンチを土に埋めるのは、ウンチの場所から自分の居場所がバレないようにするためです。とにかく徹底的に自分の身を隠して、天敵に見つからないようにしているのです。
ここまで徹底した樹上生活をしているナマケモノは地上の肉食獣に襲われることはほとんどありません。しかし、鷲や鷹などの大型の猛禽類には常に狙われる運命にあります。
例えばパナマに生息しているオウギワシの食事内容を観察したところ、その半分はナマケモノだったそうです。なんか哀れですね…。
食生活
ナマケモノの食生活は人間には理解不能です。
ナマケモノの主食は木の葉っぱです。葉っぱなんて低カロリーな食べ物ですからね。さぞかしたくさん食べてるんだろうと思いきや、1日に食べる量は重さにしてたったの8gです!ただでさえ食べる量が少ないのに、食べているのは低カロリーな葉っぱです。
更に大人のナマケモノの場合、自分の体の毛に苔が生えることがあります。なんとこの苔を食べることもあるのです。
こんな食生活で生きていられる秘密は2つあります。
1つ目がナマケモノの腸内環境にあります。ナマケモノが食べた食物繊維たっぷりの葉っぱを、腸の中の微生物が分解して、様々な栄養やエネルギーに変えてくれるのです。
ただし、食物繊維は消化にとても時間がかかります。そのため、ナマケモノは消化不良を起こすと、なんと餓死してしまうのです!
例えば、葉っぱを食べ過ぎて、胃が満腹になってしまうと、胃腸の機能が低下して微生物がうまく食物繊維を分解できなくなってしまいます。その結果、生きるのに必要な栄養が不足して死んでしまうのです。
2つ目がナマケモノの体温です。多くの動物は体温が常に一定の恒温動物ですが、ナマケモノは体温が変動する変温動物なのです。そのため、活動する必要がある時だけ体温を上げ、それ以外は低体温にして、消費カロリーを抑えているのです。
このようにナマケモノは非常に僅かなカロリーで生きている動物です。僅かなカロリーで生活している以上、エサを探すために余計なエネルギーを使うことができないため、その辺にある葉っぱや自分の体に生えた苔を食べているのです。
実はナマケモノの移動速度が極端に遅いのも、速く動くとエネルギーを急速に使ってしまい、生きるのに必要なエネルギーが無くってしまうからなのです。
逆に言えば、ナマケモノは走ったりしたら死んでしまう動物なんです。なんじゃそりゃ~!
というわけで、ここまではナマケモノの生態を見てきました。
しかし、こんな奴がなぜ厳しい自然界で生き残ることができるのか、謎は深まるばかりですよね?でも、実は見方を変えるとなるほどって納得できちゃうのです!
次はナマケモノが生き残れてしまう意外な理由を見ていきましょう。
こんな奴が生き残れる理由!
どう考えても、すぐに絶滅してしまいそうなナマケモノですが、そのライフスタイルは実は厳しい自然界を生き抜くために非常に理に適っているんです!
そのポイントは次の3つです。
- 食事が少なくてもOK
- 自給自足できちゃう
- 競争しない
この3つのポイントを知ると、ナマケモノが凄い動物だと思えるようになりますよ!
それでは順番に解説していきましょう。
食事が少なくてもOK
既に説明した通り、ナマケモノが1日に食べるのは、葉っぱ数枚、重さにして8g程度です。この食事の少なさが最初のポイントです!
普通、あらゆる動物たちは、生きるために必要な食べ物を得るために、様々な能力を発達させています。例えば獲物を捕らえるために速く走る筋力や、食べ物を探し回るための持久力などです。
しかし、これらの能力を維持するためには、たくさんの栄養が必要になります。そして、その栄養を取るために、たくさん食べる必要があります。その結果、更に能力を発達させる必要が出てきます。
このようにほとんどの動物は、食べ物を得るためには、常にたくさんの食べ物が必要というジレンマがあります。食べ物を得るために、常に活発に活動する必要があります。そして、活発に活動すれば、天敵に出くわす可能性も上がります。
動物にとって食べ物を探すことは様々なリスクがあることなのです。
しかし、ナマケモノに限っては、食べる量を極限まで減らすことで、このリスクが無いのです!
自給自足できちゃう
ナマケモノはあまりにも少ないカロリーで生きることができるため、自分の体に生えた苔を食べて生きることができます。
動物の中で食糧自給ができる動物はほとんどいません。
ナマケモノはただでさえ少ない食事量で生きていける動物です。そんな動物が食糧自給ができてしまうのです。ナマケモノには餓死する心配は無いのです(ただし、食べ過ぎには要注意ですが…)
競争しない
ナマケモノは食べ物を探す必要が無いため、競争する必要はありません。危険を冒す必要もありません。
競争には常に勝ち負けが付き物です。そして、負けた側には、飢えや死の危険があるのが自然界です。
しかし、ナマケモノの場合はとにかく競争せず、他の動物とは距離を置いて生活しています。そのため、バカ勝ちすることはありませんが、飢えや死の危険も極端に少なく済むのです。
このように少ない食べ物で生きることを追求し、他の動物と競争することを放棄した孤高の動物が、ナマケモノなのです!
そして、このようなライフスタイルには、人間も見習うべき点がたくさんあります!
今度は私が考えるナマケモノから見習うべき点をお伝えします。
人間もナマケモノを見習うべき!
多くの動物たちは、生きるために様々な能力を磨いて、熾烈な競争を繰り広げています。
それは人間も同じです。私たちは豊かな生活をするために、頑張って働いて収入を得ます。たくさんの収入を得るには、競争を勝ち抜かなければいけません。
しかし、激し過ぎる競争は人を疲弊させます。競争に負けた方はもちろんのこと、勝った方も満身創痍で、それにもかかわらず儲けが少ないなんてこともしばしばあります。
競争に勝っても得る物が少ないのであれば、更に自分を磨いて、より多くの物を得ようとします。そして、また疲弊していくのです。
しかし、私たちもナマケモノを見習って、少ない収入でも満足できるようになれば、多くのストレスから解放されるはずです。
収入を得るための過度な労働や、激しい競争によるストレスからも解放されます。
私たちもナマケモノを見習って、ちょっとライフスタイルを変えることができれば、少し楽になるかもしれませんね!
まとめ
今回は知ってるようで、よく知らないナマケモノの生態についてお伝えしました。
その生態を知ってみると、ただ動きがノロいだけないことが分かったと思います。
もう一度その生態をまとめておきますね!
- 身長と体重
- 運動能力
- 普段の生活
- 食生活
身長は40cm~75cm、体重は4Kg~9Kg
普段の移動速度は時速16m、緊急時は時速180m
一生のほとんどを樹上で暮らし、7日間~10日間に一度、排便の時だけ地上に降りる
一日に食べるのは葉っぱ数枚程度、自分の体毛に生えた苔も食べることがある
その他、天敵の鷲などには簡単に餌食になってしまったり、食べ過ぎや動き過ぎでも死んでしまうなど、実に貧弱なイメージです。
しかし、少ない食べ物でも生きることができるため、食べ物を得るための苦労が不要です。他の動物と競争する必要もないため、色んな意味で、生きるためのリスクが少なく、平和に生きている動物なのです!
私たちもナマケモノを見習うことができれば、少しだけ幸せになれるかもしれませんよ!