社会人になると、家を借りたり、ローンを組んだりする時に契約書を書くことがよくあります。
私は契約書を書くことなどあまりないので、書く場所を間違えたり、誤字脱字をしてしまったりすることがあります。そのたびに訂正印を押して、直してばかりいるので、いつも見栄えが悪くなってしまうのです。
そんな時に担当者の方から、「あまり細かい所は気にしなくて良いですよ!捨印を押していただければ大丈夫です。」と言われ、言われるがまま、指定された場所に印鑑を押しました。
でも、私は捨印というのが、どういうものかよく分からずに押してしまったのですが、捨印てなんなのでしょうか?今さら気になったので調べてみたら驚きました。やっぱりちゃんと理解した上で、捨印を押すかどうか決めた方が良いですね…。
というわけで、捨印の意味と押し方についてお伝えします。
目次
捨印とは?
まずは捨印の意味から見ていきましょう。
通常契約書などの書類は、誤記があった場合は、下の画像のようにその個所を二重線で消してから、正しく書き直し、そこに訂正した意思を示す印鑑を押します。
これを通常は訂正印と言います。
そこで、「ちょっとした間違いだったら、そちらで直していただいて構いません。」という意思表示のための印鑑を押します。そのような目的で、印鑑を押す行為や押された印影のことを捨印と呼ぶのです。
つまり、捨印を一発押して置けば、誤字脱字や記入場所の間違いなどは、相手が代わりに直してくれるわけです。
では、捨印はどこに押せば良いのでしょうか?今度は捨印の押し方や押す場所を見てみましょう。
捨印を押す場所
捨印を押す場所には特に決まりはありません。
書類の欄外の見えやすい場所に押せばOKです。一般的には下の画像のように、書類の右上の余白に押すことが多いようです。
また、用紙によっては、最初から捨印を押す欄が設けられている場合があります。そのような場合はそこに押せばOKです!
でも、便利だからといって、なんでもかんでも捨印を押すのは、ちょっと危険です。
今度は捨印のリスクと、そのリスクを回避する方法を解説します。
捨印のリスクと回避方法
捨印は、間違いを修正する権利を相手に与えることです。
これって実はとても危険な事なんです!捨印のリスクまでちゃんと理解した上で、押すかどうか決めることがとても大事です。
では、捨印のリスクってなんなのでしょうか?
捨印のリスク
捨印で認められる修正の範囲は、「軽微な間違いのみ」というのが通例です。しかし、どこまでが軽微かというのは、境界線が曖昧です。
例えば売買契約書のような場合、金額の数字を、好きなように直されたりするリスクがあります。また、委任状などの場合は、委任した内容を好きなように直されてしまうリスクがあります。
つまり、捨印を押すというのは、場合によっては、印鑑だけ押した白紙の書類を渡すのと同じことになってしまいます。
契約上、重要な項目に関しては、捨印の効果は及ばないというのが一般的なので、そこまで神経質になる必要は無いかもしれません。しかし、トラブルを避けるためにも、このリスクはしっかりと頭に入れておきましょう!
リスク回避方法
とは言え、契約書などは慣れないと書き間違えやすいものです。そんな時に捨印は便利ですよね。では、捨印のリスクを回避するにはどうすれば良いでしょうか?
方法は次の2つです。
- 作成した書類のコピーを控えとして受け取る
- 軽微な間違いもその都度、直すとして捨印は押さない
一番良いのは、捨印など押さずにその場で完璧な書類を作成してしまうことです。対面で契約を交わす場合などは、その場で双方確認し合って、間違いがない契約書を作成してしまいましょう。
もし、確認する機会が無いような場合は、必ず自分が作成した書類のコピーを控えとして残しておき、勝手に改ざんされた箇所がないか、後で確認できるようにしておいてください。
まとめ
契約というのはとても重いものです。
捨印は軽微なミスであれば、相手に直してもらうことを許可するものです。忙しい世の中では、煩雑さをなくすために便利な慣習ですが、リスクもあるので注意が必要です。
署名捺印した時点で、絶対的な効力を発するものなので、印鑑1つ押すにしてもちゃんとした知識を持って、納得して押すようにしてください。
ちなみに契約書の印鑑の押し方については、こちらの記事にも大切なことを書いたので、良ければご覧ください!
⇒ 捺印と押印の意味の違いって何?正しい印鑑の使い方!
ちなみに私は今までローンの契約書とかにも、言われるがまま捨印を押してました。別にトラブルとかはありませんでしたが、後で捨印の意味を知って、不気味な気持ちになりました…。ちゃんと勉強しないとダメですね。