街を歩いていると、大きな建物の外側の壁に定礎という文字と日付が彫ってある石の板が、はめ込まれているのをよく目にします。
こういうふうに定礎という文字と日付が書いてあるやつです。
これって何なのか、皆さんはご存知でしょうか?
私は全く知りませんでした。そうなるとすぐに調べたくなるのが私のクセです。そこで、あの定礎の石の意味を徹底的に調べてみたところ、面白いことが分かりました!
今回は定礎の意味と由来、そして、あの石の中身について、お伝えしたいと思います。
目次
定礎って何?
建物にはまっている。あの定礎の石の意味は何なのでしょうか?早速、その意味や由来を見ていきましょう!
定礎の意味
定礎とは礎を定めると書きます。昔は建物を建てる時には、礎石というものを据えてから建物を建て始めました。
礎石を据える理由はこうです。
そのため、昔は家を建てる一番最初に柱を建てる場所に礎石を置くことから始めました。
この礎石を置くことを定礎というのです。
更に、定礎の日には工事の無事と建物が長持ちすることを祈願する式典が同時に行われます。これが定礎式です。
定礎式でやること
定礎式では、お祓いをして、工事の無事と建物が長持ちすることを願った後に、礎石の下に定礎箱を埋めて、その上に礎石を置いて蓋をします。
一般的に定礎式は、神社から神主さんを招いて、このような内容で行います。
式の流れ | 内容 |
---|---|
手水の儀 | 現場に入る前に身を清める儀式です。 |
修祓(しゅうばつ)の儀 | 参列者の心と体をお祓いする儀式です。 |
降神(こうじん)の儀 | お祓いした祭壇に神を迎える儀式です。 |
献饌(けんせん)の儀 | 迎えた神にお供え物をする儀式です。 |
祝詞奏上(のりとそうじょう) | 神々にお祝いの言葉を奏上します。最も重要な行事です。 |
切麻散米(きりぬさんまい) | 祭壇に供えられた神酒、米、塩、切木綿などを撒いてお祓いします。 |
定礎の儀 | 1.定礎の辞奉読(ていそのじ ほうどく) 神に建物が長持ちすることを願います。 2.除幕の儀 3.定礎銘板鎮定(ていそめいばんちんてい)の儀 4.斎鏝(いみごて)の儀 5.礎石据付(そせきすえつけ)の儀 6.水平、垂直検知の儀 7.斎槌(いみつち)の儀 |
玉串奉天(たまぐしほうてん)の儀 | 神を恐れ敬う気持ちを込めて、玉串を捧げる儀式です。 |
撤饌(てっせん)の儀 | 新刊が献饌の儀の時の供物を上げる儀式です。 |
昇神の儀(しょうしんのぎ) | 祭壇から神を返す儀式です。 |
神酒拝戴(しんしゅはいたい) | 参列者が神酒を飲む儀式です。 |
こうして定礎式の流れを読んでもイメージし辛いかもしれませんが、よくテレビで公共施設の建設が開始されるニュースがやっていますが、その時に神主さんがお祓いしている映像が流れたりしますよね!あれがまさに定礎式です。
しかし、ここまで定礎式のことを調べてみると、1つの疑問が沸いてきます。最初の画像の定礎板は壁にはまってましたよね?定礎式では土に埋めちゃうのに、どうしてビルの壁にはまってるんでしょうか?
今度は壁にはまっている定礎板の理由を見ていきます。
現代の定礎式
定礎板が壁にはめられている理由は、現代の建築方法にあります。現代の建築方法がなぜ関係するのか説明していきます。
現代では礎石は使わない!
現代の建築方法では、礎石は使わないですし、柱も木製ではなく、金属製の腐食しにくい素材を使います。そのため、定礎自体を行う必要が無くなってしまったのです。
従って、現代の定礎式は、建築工事を始めた日に行うのではなく、建物が完成した日に、それを記念して行うものに変化しています。
定礎の中身
現代の定礎式ではめ込まれた定礎板は、ただそこにはまっているわけではありません。
実は定礎板の中には、次のような物が納められています。
- 建物の設計図
- 定礎式を実施した日の新聞
- 雑誌
- 関係者の名簿
定礎板の中には、建物が完成した当時の事や、どんな人が関わったかが分かる物が納められています。
つまり、定礎板はタイムカプセルのようなものなのです。
まとめ
今回は建物の壁にはめられている定礎の石の板について、お伝えしました。
定礎板は礎石を使わない、現代建築の場合にのみ存在する物でした。しかも、その中には建物ができた当時の事が、分かる物が納められているのです。なんかそう言われると中を見てみたい気がしますが、中を見ることができるのは、この建物を取り壊す時だけということです。
なんの意味なのかよく分からなかった定礎ですが、意外な物が入っているんですね!
ちょっとだけ中を覗いてみたいと思う管理人でした!