「本で一番偉い人は?と聞かれたら、多くの人は「総理大臣」と答えると思います。では、アメリカの場合は?と聞かれたら「大統領」と答えますよね?
でも、同じ偉い人でも、総理大臣と大統領って何が違うのでしょうか?更には総理大臣の事を首相と呼ぶこともありますが、他の国にも首相という役職があります。日本の総理大臣とは何が違うのでしょうか?
普段、ニュースなどであまりに当然の存在になっている大統領と総理大臣と首相ですが、実際には知らない事ばかりなことに気付きました。
そこで、いつも通り、調べてみると様々な違いがある事が分かりました!
選ばれ方から権限まで、細かい違いがあるんです。
というわけで、今回は大統領と総理大臣と首相の違いについて皆さんにも共有します!
目次
大統領と総理大臣と首相の違い
では、早速、大統領と総理大臣と首相の違いを見ていきましょう。
大統領と総理大臣と首相の役割は基本的に同じです。細かな違いを見ていく前に、基本的な役割をちょっと小難しい説明するとこうなります。
大統領と総理大臣と首相も、行政のトップ。
行政とは、民主主義の基本である三権分立の行政権、立法権、司法権のうちの一つの行政権を行使する人たちの事で、国の内政と外交を取り仕切っていく役割がある。
行政のトップという事は、その国を導いていく、最も重要なリーダーと言える。
このように大統領と総理大臣と首相もその国のトップリーダーであることには間違いありません。
しかし、それぞれ、微妙な違いがあります。順番に説明していきます。
大統領
大統領の役割は、国によって様々です。大統領は英語ではpresidentと言います。
共通しているのは、その国の国家元首であることです。国家元首とは、その国を代表する最も偉い人の事です。
そのため、大統領がいる国では、国王など他に国家元首はいません。
最も身近なのは、やはりアメリカ合衆国大統領ですね!アメリカの大統領の場合は、国民から直接選ばれた、アメリカ合衆国の代表です。
そのため、国民の意思そのものとして、尊敬を集め、絶大な権限を持っています。
そんなアメリカ大統領を選ぶ、アメリカ合衆国大統領選挙について、詳しく書いた記事があるので、良ければこちらもご覧ください!
⇒ アメリカ大統領選挙の仕組みとは?分かり易く解説!
しかし、その他の国の大統領はどんな権限を持っているかというと、実は国によってかなり差があります。それについては後で説明します。
ちなみに実は日本の国家元首は世界的には天皇陛下とみなされています。つまり、日本で一番偉い人と言う質問の正しい答えは「総理大臣」ではなく「天皇陛下」なんです。
総理大臣
総理大臣は行政の中の様々な分野を担当する、国務大臣の中のリーダーであり、全ての国務大臣の任免権を持っています。
総理大臣自身は国会による間接選挙で選ばれた人が、天皇陛下によって任命されることで誕生します。
ちなみに、総理大臣という役職は、日本にしかありません。実は日本の首相の役職名が、「内閣総理大臣」と呼ぶだけなのです。
つまり、総理大臣=首相なのです。
首相
首相とは英語ではprime ministerと呼びます。行政の各分野を担当する大臣の中の首席の大臣の事で、行政のリーダーのことです。
首相というのは、行政のリーダーであるものの、国家元首ではない役職を指す言葉で、正式な役職名ではありません。
そのため、各国の首相の正式名はみんなバラバラです。
日本の場合は皆さんご存知の「内閣総理大臣」ですが、史上初の議会制民主主義の国であるイギリスの場合は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国首相」という長い名前で、ドイツの場合は「連邦首相」というシンプルな名前です。
首相の選ばれ方は、どの国の首相でも、議会による間接選挙で選ばれます。これは民主主義の基本である三権分立の考え方に沿っているからです。
大統領と総理大臣と首相の違いはおおよそこんな感じです。
首相については、どの国でも概ね同じなのですが、大統領の場合は国によって更に細かい違いがあります。
今度は大統領の国による違いをもう少し掘り下げて見ていきましょう!
他の国の大統領
大統領と言えばアメリカ合衆国大統領をイメージしますよね。それもそのはず、史上初の大統領はアメリカのジョージ・ワシントンです。
アメリカの大統領が元祖大統領で、その後の色んな民主主義国家の大統領はアメリカの大統領をモデルにしているのです。
しかし、アメリカをモデルにしているといっても、細かい違いがあります。
ここでは権限や選ばれ方の違いを紹介します。
権限
同じ大統領でも、持っている権限はピンからキリまであります。
有名な国の大統領だとこんな感じです。
- アメリカ
- オーストラリア、ドイツ、イタリア
- フランス、韓国
内政から外交まで幅広い権限を持っている。代表的な権限は、行政における特別な指示を下す大統領令の発布や、議会を通過した法案に対する拒否権、軍最高司令官としての開戦や核ミサイルの発射の権限など。
行政における権限はほとんど無い、象徴的な存在。
大統領と首相との間で行政権を分け合い、役割分担をしている。
アメリカ大統領はとても強力な権限を持っていますが、オーストラリアやドイツの大統領は象徴的な存在で、行政の実質的なリーダーは首相です。
また、フランスや韓国の場合は、大統領と首相が権限を分け合って、役割分担をしています。例えばフランスは大統領は主に外交を、首相は主に内政を取り仕切るようになっています。
選出方法
大統領の選ばれ方は、国家元首ということもあり、ほとんどの国で国民投票で選ばれます。
アメリカの場合を例にすると、大統領に立候補できるのは次の3つの条件を満たしている人です。
- アメリカ生まれでアメリカの市民権を持っている。
- 計14年間アメリカに在留している。
- 35歳以上である。
この3つの条件を満たしていれば良いので、連邦議会の議員である必要はありません。他の国でも立候補に関する要件に微妙な差はあるものの、一般市民が立候補可能となっています。
日本の総理大臣の場合は、国会議員である必要があるのですが、大統領の場合は政治経験が全く無い人でも立候補資格があるのです!
ちなみに、例外的にイタリアのように議会による間接選挙で選ばれる国もあります。
結局、誰が一番偉いの!?
もちろん、人間個人の身分に上下はありません。
しかし、民主主義においては、主権者は国民なので、その国の国民からどれだけの尊敬と権限を集めているかによって、格付けが存在します。世界の通例として、次の順番で格付けが存在しています。
- 国王
- 大統領
- 首相
- (EUなどの連合体の首長)
格付けがあると言っても、国同士の外交の場で、優劣が現れることは滅多にありません。
しかし、主要国首脳会議(サミット)では、その格付けが現れる場面があります。それが、各国の首脳が並んで写真撮影を行う際の立ち位置です。
サミットの並び順には次のような順位があります。
- 真ん中⇒議長国の首脳
- 議長国首脳の左右⇒大統領(在任期間順に右側、左側の順に並んでいく)
- 大統領の外側⇒首相(在任期間順に右側、左側の順に並んでいく)
- 首相の外側⇒EUの首長
首相より大統領の方が格付けが上なので、アメリカやフランスの首脳は常に真ん中あたりに立つことになります。
よく日本の総理大臣がいつも端に立っていると言われますが、日本の首脳は首相である上に、最近の総理大臣は1年毎にコロコロ変わったため、議長国でもない限りは、常に端っこに行ってしまう運命なのです!
まとめ
今回は大統領と総理大臣と首相の違いについて見てきました。
大統領と首相(総理大臣)の違いをまとめるとこんな感じです!
- その国の国家元首
- 基本的に国民の直接選挙で選ばれる
- 行政の権限をどれくらい持っているかは国によって様々
【首相】
- その国の国家元首は別にいる
- 議会からの間接選挙で選ばれる
- 行政権のリーダーである
こうして、色々と調べた結果、私が持った印象は、首相は民主主義の原則に従って、権限や選ばれ方には決まった型があるのに対し、大統領は民主主義の象徴といったイメージが先行しているように感じました。だからと言って、もちろん大統領制に問題があると言いたいわけではありません!
よく日本の政治に失望して、日本もアメリカ型のリーダーにした方が良いのではなんて意見も聞きますが、世界の民主主義を勉強してみると、日本の総理大臣というのも、民主主義の原則に沿ったバランスの良いリーダーであることが分かります。
政治の事をあれこれ言う前に、自分もしっかり勉強することって大切ですね!
民主主義の事を、しっかり勉強して賢く政治に関わっていきたいですね~!