日本語は日本人でも難しいと感じる時がよくあります。同じ発音なのに表記する漢字が違う言葉もたくさんあります。例えば「十分」と「充分」という言葉も同じ発音で違う表記の言葉です。
皆さんはこの違いご存知でしょうか?私は恥ずかしながら今までよく分からずに使っていたので、正しい意味を調べてみました。
そこで、今回は十分と充分の意味の違いと使い分けの仕方をお伝えします!
目次
十分と充分の意味
十分と充分の意味の違いはどのようような物なのでしょうか?
まずはそれぞれの言葉の意味の違いを調べてみたいと思います。
辞書ではどちらも同じ意味
十分と充分の意味をgoo辞書で調べてみた結果、次のようなものでした。
- 満ち足りて不足のないさま。充実して完全であるさま。「―な休養」「―に整う」
- 思い残すところのないさま。思うまま。「―楽しむ」「―注意する」
- 必要なだけ、またはそれ以上あるさま。「まだ―使える」「隣町まで5キロは―ある」
なんと十分と充分を両方ひっくるめて同じ意味になっていました。単語の意味としては、両方とも同じなのです!
でも、漢字表記は別なので、細かく調べてみれば違った意味やニュアンスがあるかもしれません。そこで、更に「十」と「充」の意味を調べてみました。
十と充の意味
十と充の1文字だけの意味を調べてみると、それぞれ次のようなものでした。
- 全部そろっている。「十全・十分」
十は数値的に満ちている意味で使われます。例えば「100%」という言葉は数値や量が満ちている意味で使いますが、これと同じ意味と考えると良いでしょう。
【充の意味】
- 中身がいっぱい詰まる。みちる。みたす。「充血・充実・充足・充電・充満/拡充」
充は感覚的、心理的な意味で使われます。例えば「充実した日だった」と表現した場合、どのように充実していたかは、個人差があるので、数字や量で表現できるようなことではありません。どうなれば充たされるのかは、人それぞれの感覚によります。
十分と充分は、辞書に載ってる意味は同じでも、このように漢字の意味を調べてみると微妙に違います。そこで、次はこの微妙な意味の違いを踏まえて、実際の使い分けの仕方を見ていきましょう。
使い分けの仕方
十分と充分は数値的な意味と感覚的な意味の違いです。そこで、例文を見ながら、使い分けの仕方を解説していきます。
十分の場合
十分の場合は数値的や量的に満ちている意味で使うため、次のように使います。
- 野球をするのに十分な人数が集まった
- 経営が成り立つだけの十分な売り上げがある
- 全員が座るのに十分な席がある
野球は1チーム9人必要なので、対戦チームも合わせて、計18人揃っていることを表現しています。
赤字にならないだけの金額の売り上げがあることを表現しています。
その場にいる人数分の席があることを表現しています。
このように十分はちゃんと数や量が足りていることを表しています。そして、数字や量が満たされていることを表現したい時に使うのが十分なのです。
充分の場合
一方で充分の場合は感覚的に満ちている意味で使うため、次のように使います。
- お腹が満たされるのに充分な量の食事だった
- 問題を解くのに充分な時間がある
- グラスには充分な量の水が入っている
食べで満足した感覚を表現しています。満腹になる量の食事は、人それぞれなので、量を表してはいません。
問題を解けると感じる時間があることを表現しています。実際に何分で解けるかはあまり関係ありません。
満足できると感じるだけの水がグラスに入っていることを表現しています。量という言葉が使われていても、実際の量は重要ではありません。
このように充分を使う場合は、満たされているという感覚を表しています。実際の数値や量には重要な意味はありません。
というわけで、ここまでは十分と充分の使い分けの仕方を例文を見ながら説明してきました。しかし、ビジネスの場合は「十分」を使った方が良いのです。
なぜ、ビジネスでは「十分」を使った方が良いのでしょうか?次はその理由をお伝えします。
ビジネスでは十分と使った方が良い理由
ビジネスでは多くの場合、感覚的な表現よりも数値的な表現の方が重要だからです。
こちらの記事にも書きましたが、ビジネスでは定量的な表現が重要視されます。
⇒ 定量的と定性的の意味の違い!定量的に表現するコツとは?
ビジネスでは普段から数字を明確に表現することが、求められます。
また、最初にもお伝えした通り、「十分」と「充分」の意味は辞書上では同じ意味のため、無難であることも理由です。
ビジネスシーンでのメールや文書では、十分を使うようにしましょう!
まとめ
今回は十分と充分の意味の違いと、使い分けの仕方をお伝えしました。
それぞれの意味の違いをまとめるとこうなります。
- 「十分」は数値的、量的な意味が足りている意味で使う。
- 「充分」は足りていること、満足していることを表現する意味で使う。
辞書では基本的に意味は一緒なのですが、このように使い分けると良いでしょう。
ただし、使い方を迷う場合やビジネスシーンなどでは十分を使うようにすれば、問題はありません。
皆さんも賢い日本人として、十分と充分を上手に使い分けてみてくださいね!
「ビジネスでは十分と使った方が良い理由」ですが、公文書で「十分」しか使えないからです。
政府が公文書の書き方を定めている中で「十分」を使うように定めているので、公文書では「充分」を使うことができません。
企業でも役所に提出する書類で「充分」を使えない場合があるので、ビジネスの場面でも「十分」に統一しています。
川村さん
記事を読んでくださりありがとうございます。
そして、有益な情報をありがとうございます!
そういうことなら、ビジネスでは”十分”を使うという一択ですね。