私は相撲が大好きなので、大相撲をテレビ観戦することがよくあります。そんな大相撲は日本人が慣れ親しんできたもののはずなのに、意外に知らないことが多いのではないでしょうか?
そんな知らない事の中には、力士の給料のことがあります。テレビ観戦をしていると、給金相撲とか給金直しという言葉をたまに耳にしますが、みなさんはその意味をご存知でしょうか?
調べてみると、それは力士が貰える給料と深い関係が、あることが分かりました!大相撲の給料の制度を知ると、力士が目の色を変えるポイントが分かって、楽しさが深まりますよ!
今回は大相撲の給金制度である力士報奨金についてお伝えします!
目次
大相撲力士がもらえる給料
大相撲で力士が貰える給料には、次の二つがあります。
- 月給
- 力士報奨金
意外に知られていないことの一つ目は、力士はこの2種類の給料を貰っているということです!まずは、それぞれについて、解説していきますね。
なお、力士の給料の説明をする際には、力士の番付が深くかかわってきます。こちらの記事に、大相撲の番付について書いたので、良ければ参考になさってください!
⇒ 大相撲の番付の決め方!昇進のルールを分かり易く解説!
月給
まず一つ目は月給です。サラリーマンと同じように力士も月給を貰っています。しかし、大相撲で月給を貰えるのは、十両以上の関取のみです。
大相撲の月給もサラリーマンと同じように年ごとの定期昇給があり、平均すると前年よりも10%の昇給額だそうです。ただし、昇給率は理事会で決定されるため、一定ではありません。
それぞれの番付で貰える月給は、基本給と諸々の手当てを含めて、大体以下のような金額になっています。
【大相撲の月給】
番付 | 金額 |
---|---|
横綱 | 約280万円 |
大関 | 約230万円 |
三役 | 約170万円 |
前頭 | 約130万円 |
十両 | 約100万円 |
月給は怪我などで休場しても、成績が悪くても貰うことができます。サラリーマンのようなボーナスは貰えないものの、やっぱりかなりの金額ですね!
力士報奨金
大相撲の力士には、月給以外に貰える給料があります。それが力士報奨金です。こっちがサラリーマンでいうボーナスに該当するものです。
力士報奨金は本場所ごとに十両以上の関取に支払われます。つまり関取であれば、年6回受け取ることができます。力士はボーナスを年6回貰えるわけです!
しかし、幕下以下の取的だと、力士報奨金は貰えません。取的は月給も力士報奨金も貰えないのは、やっぱり、厳しい世界ですね~
さて、この力士報奨金は本場所での成績に応じて、増えていく仕組みになっています。この力士報奨金の仕組みを知ると、力士が目の色を変えるポイントが分かって、大相撲観戦の楽しさも増します!
ただし、ちょっとややこしいので、次は力士報奨金の仕組みを詳しく解説しますね!
力士報奨金の仕組み
力士報奨金の金額は、各力士が持っている持ち給金という数字が基準になります。現在はこの持ち給金を4,000倍した金額が、力士報奨金として関取以上の力士に支払われます。
力士報奨金の基準になる持ち給金は、以下のような条件で加算されていきます。
- 序ノ口に出世
- 本場所で勝ち越す
- 金星をあげる
- 番付が昇進する
- 幕内最高優勝
3円加算
勝ち越し星1番ごとに50銭加算
10円加算
十両40円、幕内60円、大関100円、横綱150円に自動加算
30円加算、全勝優勝の場合は50円加算
この持ち給金は負け越したり、休場したりしても、基本的に下がることはありません。最初は微々たるものですが、少しずつ積み重なって増えていくので、ベテランになれば結構な額になるのです。
それでは、一つ一つの条件を詳しく見ていきましょう!
序ノ口に出世
前相撲を取って、序ノ口に出世すると、それだけで3円加算されます。しかし、持ち給金を持っていても十両になるまでは力士報奨金は、1円も支給されません。
関取になるまでは、お預けなのです…。
本場所で勝ち越す
本場所で勝ち越すと勝ち越し星1番ごとに50銭加算されます。勝ち越し星というのは、勝ち越しの基準からどれだけ勝ち星を上積みしたかをいいます。
例えば十両以上の取り組みの場合、8勝7敗で勝ち越した場合は、勝ち越し星は1番と数えて、持ち給金は50銭加算されます。そして、9勝6敗の場合は勝ち越し星は2番と数えて、持ち給金は1円加算されます。勝ち星から7を引いた数が勝ち越し星数と考えると分かりやすいです。
また、幕下以下の取り組みの場合は、勝ち越しは4勝以上なので、4勝3敗は勝ち越し星1番、5勝2敗は勝ち越し星2番となります。幕下以下の場合の勝ち越し星数は、勝ち星から3を引いた数となりますね。
ちなみに、幕下以下の場合は、勝ち越せば持ち給金はしっかり加算されていきますが、関取にならなければ力士報奨金は貰えません。幕下以下でいくら勝ち越しを重ねても関取にならなければその苦労は報われないのです!
金星をあげる
金星をあげると持ち給金は、10円加算されます。
通常の取り組みでは、勝った相撲を白星と呼びますが、平幕力士が横綱に勝つと、特別に金星と呼びます。小結以上の役力士が横綱に勝っても、金星にはなりません。
全勝しても持ち給金は4円しか上がらないのに、金星一つで10円も加算されるため、平幕力士が横綱と対戦する時は、みんな目の色を変えて挑戦するわけです!
一方の横綱からしてみると、平幕の力士に負ける事で、その力士の持ち給金を増やしてあげることになります。そのため、平幕力士に負けることを金星配給と呼び、横綱のとっては恥とされるものなのです。
ちなみに金星は力士にとって、喉から手が出るほど欲しいものなので、ここから転じて、独身の力士が結婚することを金星をあげると言うことがあります。
番付が昇進する
この持ち給金の加算だけ少し特殊です。以下の番付には基準の持ち給金があり、力士がその番付に昇進すると、それまでの持ち給金がその額以下であっても、自動的にその基準額になります。
既にその持ち給金を上回っている場合は、減額されることはありません。
各番付の基準額は以下です。
- 横綱:150円
- 大関:100円
- 前頭:60円
- 十両:40円
スピード出世している力士の場合、自動加算でどんどん持ち給金が増えていきます。しかし、番付が下がると、自動加算された持ち給金は、加算された時と同額だけ減らされてしまいます。
幕内最高優勝
幕内最高優勝の場合は、30円が持ち給金に加算されます。更に全勝優勝だった場合は、50円が持ち給金に加算されます!
持ち給金の加算額が、ただの優勝と全勝優勝では格段に違うことがポイントです。既に優勝が決まっていても、力士は千秋楽まで全く手を抜かないのです!
ここまでは大相撲の給金制度について見てきました!持ち給金が加算されるポイントを知ると、取り組みを違った角度から見ることができて楽しいですよね?
そこで、おまけとして持ち給金が加算される相撲の別名について、簡単にお伝えします!
給金相撲と給金直し
大相撲をテレビ観戦していると、給金相撲とか給金直しとなどという用語がたまに出てきます。これは力士の持ち給金の加算に関係する取り組みの場合に出てくる用語です。
簡単に説明しますね!
- 給金相撲
- 給金直し
持ち給金が加算される可能性のある取り組みのこと。勝ち越しのかかった一番を給金相撲と呼ぶことが最も多い。平幕力士と横綱の取り組みや、幕内最高優勝がかかった取り組みも厳密には給金相撲だが、実際にそのような取り組みを給金相撲と呼ぶことはほとんどない。
給金相撲に勝ったことで、持ち給金が加算されること。勝ち越しが確定した後に9勝、10勝と勝ち星を重ねていっても、これを給金直しと呼ぶことはない。
どの取り組みが給金相撲なのかを知っていると、給金相撲に臨む力士の心情を想像したり、金星をあげた力士がインタビューでカッコイイことを言っていても「給料が上がったことも嬉しいんでしょ?」なんて見方をしたりと、違った角度から楽しめます!
まとめ
プロスポーツの世界は、成績が報酬に直結するため、とかく不安定な職業と思われがちです。
しかし、大相撲力士は安定収入の月給と、実力に応じた収入の力士報奨金の2種類の給料により、安定性も兼ね備えた給金制度になっているわけです。
不安定なプロスポーツの中で、実はとても安定したお給料がもらえるのが大相撲です。日本人の有力な力士も増えて欲しいので、安定志向の日本人には、大相撲はおすすめと言えるかもしれませんね!
ちなみに2016年5月現在の持ち給金の最高額記録は、横綱白鵬の1,732円です。つまり、本場所ごとに6,928,000円貰えるわけです。凄い額ですね~!白鵬は現役なので、まだまだ記録は更新されていくでしょう!