私は格闘技観戦がとても好きで、その中でもボクシングが特に好きです。いつもテレビの前で大声を上げては、妻に怒られています(^^;)
観ていていつも思うことは、日本人ボクサーには数多くのチャンピオンや、ランキング上位の有望な選手がいて、日本人はボクシングが強いんだなぁということです。
しかし、長年ボクシングを観ていて分かりにくいと思うことの一つに選手のランキングの決め方があります。一体、ランキングってどうやって決められているのでしょうか?調べてみると意外なことが分かりました。
日本人ボクサーのランキングが高い傾向にあるのは、どうやら実力以外の理由があるようですよ!
というわけで、今回はボクシングのランキングの決め方についてお伝えします。
目次
ボクシングのランキングの決め方
まずは既にご存知と思いますが、ボクシングのランキングの意味について、軽くおさらいしておきましょう。
ボクシングのランキングは各団体が、階級毎に独自に決定する。ランキングはそのボクサーの実力順に付けられ、1位~15位(WBCは40位まで)までの名簿が各団体の各階級毎に作られている。
実力を表す順位でありながら、1位=チャンピオンでないのは、ランキングがチャンピオンへ挑戦できる優先順位の意味もあるためである。
ランキングの更新は各団体毎に定期的に実施される。例えばJBC(日本ボクシングコミッション)の場合は、毎月末にJBCの担当者、ボクシング雑誌記者、新聞記者などで構成するランキング委員会によって決められる。
では、このランキングはどのような基準で決められているのでしょうか?
ボクシングには試合結果によって、ポイントを獲得できるなどの制度もありません。それにとても過酷なスポーツのため、各ボクサーは年にせいぜい数回ほどしか試合をすることができません。
そのため、ボクサーのランキングを決めるための、はっきりした基準はなく、ランキング委員会の合議で決められています。
合議の際には以下の内容をもとにランキングが決まります。
- 試合結果
- 試合内容
- 選手の人気
- 所属ジムの興行力
ボクサーの実力を表すためのランキングなので、1と2は当然ですが、なぜ3と4も影響するのでしょうか?順番に見ていきましょう!
試合結果
最も影響するのは、該当の期間に試合を実施したボクサーの勝敗です。基本的に該当の期間に1勝以上しているボクサーのランキングをアップさせ、それ以外のボクサーのランキングは下がります。
アップダウンする順位の幅は、他のボクサーの成績やこれから説明する要素が関係してきます。
試合内容
次に重要なのが、試合内容です。勝った相手がランキング上位の選手だった、KO勝利したなど、同じ勝ちでも内容によって、アップする順位の幅が変わってきます。
また、既に他の階級で試合をしている場合は、その実績なども加味されます。
過去にはロンドンオリンピックのミドル級金メダリスト、村田諒太選手がプロデビュー戦の勝利でいきなり日本ランキング1位になったことがあります。
この時は現役の東洋太平洋チャンピオンという強敵を、1ラウンドでKO勝利したことや、金メダリストであることなどの実績が評価されてのスピード出世でした。
数字上は1勝にすぎなくても、内容によってこれほど差が付くこともあるわけです。
選手の人気
さて、ここからは公式には、ランキングには関係ないとされている基準になります。プロボクシングはビジネスである以上、やはりこういった裏の調整は、行われているようです。
各ボクシング団体の収入源は、タイトルマッチの承認料です。つまり、チャンピオンがタイトルマッチをたくさんやってくれるとたくさん儲かります。
一方で、ボクシングの試合を興行する側の収入源は、試合観戦のチケットの売り上げや、TVなどの放映権料などです。
ボクシングはプロのスポーツである以上、お金を稼げないと成り立ちません。当然、試合をする選手の人気が高い方が、売り上げアップにつながります。稼げる試合をするためには、人気のある選手同士でタイトルマッチをする必要があります。
そのため、人気選手同士でタイトルマッチができるように、人気の高い選手をなるべく高い順位にランクインさせることも、行われることがあります。
テレビで話題を振りまいている選手が、ポンポンタイトルマッチを行っているのをよく見かけますが、やはり、陰でランキングに少し色が付けられているからかもしれませんね…。
所属ジムの興行力
ボクシング団体の主な収入源は、タイトルマッチの承認料なので、タイトルマッチをたくさん実施してくれる興行主が望ましいわけです。
となると、興行力があり、タイトルマッチをじゃんじゃん実施してくれるジムに所属している選手は、ランキングで有利に働く傾向があります。
また、日本やアメリカなど、総じてボクシング人気があり、経済的に豊かな国は、タイトルマッチを多く実施する傾向にあるので、日本やアメリカのボクシングジムに所属していることも、少しは影響するかもれません。
さて、ここまで見てみると、ランキングって結構人間の主観やお金を稼げそうな選手かどうかで決まってるので、選手の実力を反映しているかどうかは、疑問です…。
じゃあ、ランキングって結局どういう意味があるのでしょうか?今度はランキング上位になるメリットを見てみましょう!
ランキング上位のメリット
ランキング上位の選手のメリットですが、なんと1位以外は大差ありません…。一体なぜなんでしょうか?
1位の場合と2位以下の場合の差を説明します。
1位の選手
ランキング1位の選手には、優先的にチャンピオンに挑戦できる権利があります。各ボクシング団体はチャンピオンになった選手が弱い選手とばかり、タイトルマッチを繰り返さないよう、定期的にランキング1位の選手の挑戦を受けることを義務付けているのです。
どの団体も指名試合をしなくてはいけない周期を、9ヶ月~1年にしています。そのため、1位でいれば1年以内にはチャンピオンに挑戦できるのです!
また、団体によっては、王座決定戦によって、チャンピオンになった場合は3ヶ月、2位以下の選手がチャンピオンに挑戦してタイトルを奪った場合には、4ヶ月以内に1位の選手の挑戦を受けることを義務付けています。
ランキング1位の選手には、優先的にチャンピオンに挑戦できる権利があるのです!
2位以下の選手
一方の2位以下の選手には、1位の選手のような特権はありません。
一応、ランキングに入っている選手であれば、チャンピオンとタイトルマッチをすることはできますが、プロボクシングは双方が合意しなければ、試合が開催されないため、チャンピオン側が挑戦を拒否してしまえば、試合は成立しません。
普通は、チャンピオン側は何らかのメリットが無い限り、2位以下の選手の挑戦は受けません。そして、チャンピオン側のメリットといえば、やはりなんといっても、ビジネスになるかどうかです。
つまり、2位以下の選手がいきなりチャンピオンに挑戦するには、「ファイトマネーをはずむので、挑戦させてください」と言うしかないのです!
したがって、お金があるジムに所属している選手は、チャンピオンに挑戦することは比較的簡単で、貧乏なジムに所属している選手は頑張って、1位になるしかないということです!
ここがボクシングの不公平なところなのですが、ビジネスである以上、仕方ありません…。
まとめ
結局、ランキングの決め方は、人間の主観で決めていて、その判断材料には多少なりともビジネスになるかどうかが入っています。適当というわけではありませんが、お金になるかどうかは、どうしても判断材料の一つになってしまいます。
そして、実際にはそのランキングも1位以外にはあまり意味が無く、タイトルに挑戦するにはお金の力がかなり重要です…。
ボクシングは最も人気のある格闘技のうちの一つなので、動くお金も莫大です。ちょっとがっかりする部分もありますが、やっぱり、ビジネスになるかどうかが重要なので、やむを得ないところなのでしょう…。
とはいえ、最終的には実力のあるボクサーがタイトルを獲得して、防衛を重ねていくので、そこには嘘はありません!
リングの上で、死力を尽くして戦うボクサーをリスペクトして、これからもテレビの前で大声で応援したいと思います!